シェフの愛用食材:さぬきうどん三升・浦尾光徳店主 和田久「かつお削りぶし」

2011.09.05 390号 10面

 讃岐うどんの店「三升(みます)」は、約40年前に創業した老舗うどん店。

 「両親が香川から東京へ出て来た当初は、関東に讃岐うどんは珍しく、お客にもなかなか受け入れられず、中には醤油をかけて食べる人もいたと父から聞いています」と語るのは2代目の浦尾光徳店主。

 本場の讃岐うどんは、いりこと昆布だけでだしを取るのが定番。しかし、それでは東京のお客に受け入れられなかったため、苦心の末、鰹節を使いはじめた。現在の讃岐だしは、鰹節を主とし、讃岐の風味を守りつつ、独自のコクとうま味を出すため、鯖節、いりこ、ムロアジ、宗田鰹節のブレンドを使用している。その主となる削り節が、和田久の「かつお削りぶし」だ。同店が東京のお客に受け入れられるようになった決め手である。

 伝統を受け継ぐ和田久の「かつお削りぶし」は、だしを取る時、生臭みが出ず、出ただしが戻らず十分にうま味が抽出される。

 和田久の「かつお削りぶし」の重要性について「魚は生き物です。それを常に安定した高品質で提供してくれます。だからこそ、安心して自分の求める味を追求できます」と浦尾店主。「また、削り節に含まれる血合いの割合も、コクと深みを出すためには必要不可欠。それも指定できるので、和田久の削り節は不可欠」と、太鼓判を押す。

 讃岐うどんの専門店が急増しているが、「おいしさは一つではない」と浦尾店主は言う。それは、「時」と「場」によって人の好みが変化するからだ。伝統を守りつつそれに合わせていくことの大切さを「三升」と「和田久」のコラボレーションが教えてくれる。

 ●商品紹介:「かつお削りぶし 業務用500g」

 和田久(東京都中央区)

 原魚からこだわり、鹿児島県枕崎産の良質なカツオを使用。天日干し鰹節の発祥地枕崎で、十分に天日干しをする。仕上がった節を定温でじっくりとねかせて熟成させる。薫乾の後、さらにまた、天日干しをしてうま味と深みを増した熟成節に仕上げる。削る前の工程において、遠赤外線焼軟を行い、均一な成分調整を行う。

 ◆さぬきうどん三升・浦尾光徳店主

 うらお・みつのり=1963年5月5日生まれ。千葉商科大学を卒業後、レストラン森永、杵屋などで和・洋食、手打ちうどんの勉強をし、先代の父の跡を継ぎ「さぬきうどん三升」に入店。父が現役を引いた後、代表取締役兼店長として現場に立つ。系列店(妹が経営)に和食「三升」(新宿区神楽河岸)。創作和食料理が中心だが、同じ味の讃岐うどんも提供している。

 さぬきうどん三升(東京都渋谷区恵比寿1-9-5)

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