外食ユニーク書籍:木村康宏著『ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら』

2012.01.02 394号 18面

 ●「もしドラ」にあやかったラーメン店経営書

 「もしドラ」という名前を聞いたことがあるだろうか。『もし高校野球の女子マネジャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』という長いタイトルの書名を、今風に縮めたのが「もしドラ」だ。中身はタイトルそのまま、とある高校の野球部マネジャーである「みなみちゃん」が、マネジャーの仕事の参考になるかと勘違いしてドラッカーの経営書「マネジメント」を読む、というストーリーで組織の経営について考えさせようというビジネス書だ。ちなみに、ドラッカーとは1909年にオーストリアで生まれた米国人経営学者で、組織のマネジメント論を中心に多数の著作を発表している。

 「もしドラ」は、ダウンロード版と併せると270万部を突破し、マンガやアニメ、映画にもなって、まれに見る大ヒットを記録したから、もちろん知っている人も多いだろう。本書は、そうしたベストセラーにあやかってということなのか、同様のスタイルでラーメン店の経営について考えさせようという飲食店向けの経営書である。もちろん、企画段階で「もしドラ」を意識したものだったのかどうかは不明だが、カバーのイラストや書名が、いかにもそれらしい雰囲気だ。

 本書の著者はラーメン店のコンサルタントだとのこと。内容は、ありがちなジリ貧のラーメン店を再生する若手コンサルタントのストーリーだ。

 「もしドラ」の主人公が買ったという設定の本家ドラッカーの著書「マネジメント」のエッセンシャル版が累計100万部を突破したらしい。本書の残念なところは、実物の参考書籍がないことかも知れない。

 (藩田伊庵)

 ◆発行=幻冬舎/判型=B6判ソフトカバー318頁/価格=1300円(税別)/刊行年月=2011年8月

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