業務用食材活用の知恵(その11)タマゴ・フィリング
●女性の好む食材が売れる時代 コクやさわやかさを付加して個性化 意外とないサラダへの応用
主として練りサラダ用やサンドイッチフィリングに使われるのがタマゴ・フィリング。意外に幅広い嗜好層を持つ食材で、居酒屋などでもいろいろに使える可能性がある。ただし、消費者にとってもスーパーのデリなどでなじみの食材なので、使用する際には若干の手を加えてオリジナルな味や内容を意識させることが肝心だ。
アクセントとして、ピクルスやラッキョウ、オリーブなどを刻んで入れたり、ハーブやスパイスを少量加えるのもよい。
味のオリジナル化には、サワークリームや少量のレモンピールを刻んだものやレモン汁などで、コクやさわやかな風味を加えるのも一法だ。
メニューへの利用でまず試したいのは、定番サラダへのトッピング。ゆで卵や温泉卵などをのせたサラダは多いが、フィリングをのせたものはほとんど見当たらない。どことなく女、子どもの食べ物という認識があり、居酒屋的メニューにはなじまないと考えられていたせいかもしれない。けれども、言うまでもなく居酒屋にとって女性客は重要だし、実際にも女性の好む商品はよく売れる時代。加えて最近では男性の嗜好の女性化という現象も目立っており、スイーツ好きの男性も多い。あらためてこの食材の見直しをしてみたい。
◆「タマゴロール」
加熱でアボカドもクリーミーに
■参考原価=112円
●使用食材(1人前)
タマゴ・フィリング(80g)食パン(10枚切り×2枚)アボカド(16g)グリーンカール(2g)赤パプリカ(2g)全卵(20g)サラダ油(揚げ用適量)
●調理方法
(1)食パンのみみを切り、タマゴ・フィリングをのせ、アボカドをのせる。
(2)全卵をほぐして縁に塗り、ロールアップし、ようじで3ヵ所を留める。
(3)全卵をくぐらせ、サラダ油で揚げる。
(4)カットして皿に盛り、中央にグリーンカールと赤パプリカをあしらう。
(5)トマトケチャップを添える。
●メニュー開発のコンセプト
人気のタマゴ・フィリングをつまみにアレンジした、見た目もかわいい女性向きのスナック風メニュー。
●応用のヒント
ベーコンや生ハムなどを入れると一層おいしくなる。
◆「タマゴサラダのベークドポテト」
卵好きに強力に訴求
■参考原価=108円
●使用食材(1人前)
タマゴ・フィリング(50g)ジャガ芋(1/2個80g)ベーコン(1cm幅10g)ブーケレタス(3g)パセリ(みじん少々)サワークリーム(5g)トマトソース(30g)塩(少々)
●調理方法
(1)ジャガ芋はアルミホイルに包み、180度Cのオーブンで40分ほど焼いておく。
(2)ジャガ芋を1/2に切り、電子レンジで温める(1/2個だけ使用)。
(3)(2)の内側をスプーンでくり抜き、中身と塩、サワークリームを加えてまぜ合わせてジャガ芋に戻す。
(4)タマゴ・フィリングをのせて、ベーコンをトッピングする。
(5)オーブンで焦げ目が付くまで焼く。
(6)皿にのせ、ブーケレタス、トマトソースを添え、パセリを散らす。
●メニュー開発のコンセプト
サワークリーム味のポテトにたっぷりのタマゴ・フィリングをのせてベークした、卵好きにはたまらないビジュアルのつまみ。
●応用のヒント
ジャガ芋にはブロッコリーやミックスベジタブルなどの野菜をのせて作るのもよい。
◆プロフィル
押野見喜八郎(おしのみ・きはちろう) FSプランニング代表。1946年千葉県生まれ。東京ヒルトンホテルを経て外食マーチャンダイザーに転身。多数の外食専門校で活躍するほか、外食企業の商品開発、食品企業の業務用食材開発を手掛けるなど、わが国のメニュー政策指導の第一人者として知られる。「外食新メニュー実用百科」(日本食糧新聞社)など著書多数。