味噌メーカー、カフェとコラボ展開 女性がターゲット、ヘルシーさ全面訴求
秋冬の最需要期を迎え、味噌メーカー各社がカフェとのコラボレーションで消費者との距離を縮め始めた。美容や健康に関心の高い女性をターゲットに据え、シェフが考案したヘルシーなメニューを提供。「和」のイメージをベースに最新のトレンドを取り入れ、味噌や麹の魅力を発信している。消費者の“味噌離れ”が進む中、飲食店とのコラボレーションによるメニュー提案は、今後のPR戦略の試金石となるだけに注目が集まる。
味噌最大手のマルコメは、東京・千代田区平河町の自然派カフェ「Oniwa」の店舗エントランスにキッチンカー“糀cafe号”を常駐する。店内では「糀ジャム」を使用したソフトドリンクやカクテル、塩麹を使ったオリジナルフードを提供。マクロビオテックやローフードを取り入れたナチュラル志向のメニューが選べる。
店頭のキッチンカーではマルコメ商品を販売する他、キャラクターグッズの展示やCM放映などを行い、発酵食品の魅力を発信する。キッチンカーは移動式カフェとして各地のイベントにも赴く予定だ。
ハナマルキは11月4日まで、神楽坂の「あかぎカフェ」で12日間限定の「塩こうじごちそう食堂」を開店した。塩麹の食体験の場を創出することが目的で、メニューはなすび亭の吉岡英尋シェフらが考案。塩麹を使ったリゾットや煮込み料理、ホットケーキ、ジェラートなどがプレートセットで振る舞われた。来店者が自宅で再現できるよう、詳しいレシピも配布された。
宮坂醸造も2週間限定で表参道のカフェ「シーズフォート」とタイアップ。6種の天然素材を配合した「膳みそ」を使用した日替わりメニューを提供した。会期中は1日限定のお子様ランチを発売するなど、親子で味噌を存分に味わえるイベントになった。味噌の美容面での働きを世に広く啓発する「美ソ・ビューティーキャンペーン」の一環として行われた。
既存の自社施設で味噌の魅力を発信するメーカーも少なくない。長野の竹屋は01年から「タケヤ味噌会館」で数量限定の味噌やオリジナルスイーツを販売。創業当時に使用していた味噌作りの道具なども展示する。武田味噌醸造は直売所「菱屋」を運営。新田醸造は自社の売店で味噌汁の試飲や味噌ソフトクリームの販売を行うなど、積極的に消費者との接点を設けている。
国内の味噌需要は減少傾向にある。全国味噌工業協同組合連合会の統計では、11年の全国の味噌出荷量は42万3790t。10年前から約5万7000t減っており、業界では特に若年層の“味噌離れ”に対する新たなPRに力を入れている。
今秋相次いだカフェとのコラボレーションの狙いは、味噌や麹の露出を増やし、消費者との接点を作ること。家庭でも作れるシンプルなメニューを味わってもらい、調理機会および使用量の増加をもくろむ。