料理人の食材批評:響くろき・黒木直人店主 ヤマサ醤油「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」

2013.04.01 409号 16面

 ●鼻に抜ける香りのよさが格別

 すべてに上質を追求し、連日連夜行列の絶えない人気のラーメン店「饗くろき」。看板メニューは「特製塩そば」と「特製味噌らーめん」だが、昨年11月から金曜限定で提供する醤油ラーメンも好評を博している。店主の黒木直人氏は20年間、和食の名店やイタリアンレストランで研鑽を積み、料理人生の集大成をラーメン1杯に表現。醤油は日本の発酵文化の頂点であり、醤油味はラーメンの王道とする黒木氏に、ヤマサ最高峰の醤油である「重ね仕込しょうゆ本懐石」を評してもらった。

 「本懐石」は豊かなうま味、素材を生かす色と香りが特徴の濃口醤油。大豆、小麦、塩という使用原料、6ヵ月という製造期間は従来のままに、ヤマサ独自の製法によって、高いレベルでの味・色・香りを両立している。

 黒木氏は特に「本懐石」の香りを評価。口にした後、鼻に抜ける香りのよさが格別とし、味わいも深いとする。濃厚なたまり醤油や再仕込み醤油とは異なる、適度なコク味を持ち、刺し身ならマグロの赤身が最適と品評。実際に「本懐石」の高品質な設計は和食店を中心に支持され、売上げは2桁成長を続けている。

 黒木氏は、「本懐石」の商品価値は和食だけでなく、ラーメンのたれや具材でも生かせると指摘。たれは現在、数種類の生醤油を独自の温度と時間で火入れし、各店オリジナルの香りを引き出すスタイルが主流。「本懐石」のような香りのよい醤油は加熱することなく、たれの仕上げに数滴用いるだけでふくよかな香気が生かせるという。具材への使用では、特に素材本来の香りを保つ低温・真空調理に好適。安価な肉でも「本懐石」に数分漬け込み、真空パックして低温調理すれば上等な味わいが楽しめる。

 「饗くろき」の醤油だれには、昔ながらの杉樽仕込みの醤油を使用。日本食文化を伝承していくのも料理人の使命とする黒木氏の考えによる。「本懐石」は、創業360年を超えるヤマサ醤油が醸造技術の粋を集めて開発。高い商品力は和食の枠を超えた調理の進化を促し、新たな伝統を紡ぎ出してくれそうだ。

 ●商品紹介

 「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」 ヤマサ醤油(千葉県銚子市)

 たれや具材、低温調理にも最適

 うま味の目安となる窒素分が一般的な醤油より20%多い超特選醤油。3種類の麹を使う「重ね仕込:追い麹製法」(特許取得済)によって、軟らかな香りと明るく澄んだ色、強い甘味、濃厚なうま味を引き出している。

 規格=1.8L×6

 ●プロフィール

 黒木直人(くろき・なおひと) 饗くろき店主

 1971年東京都出身。服部栄養専門学校を卒業後、東京・赤坂の日本料理「三河家」で約6年間修業。新分野を求めてイタリアンに移り、以後、「権八(グローバルダイニング)」副料理長、高級店を展開する「ブライト&エクセル」総料理長を務め、11年6月に現店にて独立。

 ●店舗情報

 「饗くろき」 所在地=東京都千代田区神田和泉町2-15 四連ビル三号館1階

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