高桑先生の飲食経営クリニックQ&A(46)郊外SC、飲食売上げ規模に限界あり

2013.04.01 409号 07面

 ●中規模ショッピングセンターへの出店 飲食売上げ規模に限界あり

 昨年誘われて、郊外ショッピングセンター(以降、SC)へ出店しましたが、売上げが目標(月700万円)に届きません。SC全体では78億円も売っている、と聞いていたので、“ファミリーに人気のイタリアン・バイキング”なら大丈夫と思っていましたが、まったく駄目で、撤退しようか悩んでいます。ご教授ください。

 (仙台市でイタリアンを3店経営のオーナーシェフ、42歳)

   *   *   *

 知り合いの広告代理店の社長さんから相談があった。

 交通費と日当出すからと要請され、昨年12月初に、秋湯温泉にある有名スーパー「さいち」(本紙別冊特集号参照)取材のついでに、仙台市郊外のお店に立ち寄った。

 われわれコンサルタント業界では、SC内飲食店売上比率は5~8%程度といわれている。特に、年商50億~80億円程度なら5~7%程度と思われる。

 当SCは、普段でも賑わいのある商業施設で、近隣ではちょっとした繁盛店である。

 そこで、当SCの飲食店売上げなどを調べ、表にしたのでご覧いただきたい。

 概算ではあるが、上記のような結果(4.7%)である。数字だけみると、まだいけそうにも思えるが、しかし食品売り場のベーカリーをご覧いただきたい。

 ベーカリー商品の過半は“菓子パン・調理パン”である。

 また、惣菜部門に足を運ぶと、弁当や調理パン、おにぎりが山と積まれている。これらの中食(なかしょく)売上高が、実は2億円ほど飲食売上げに食い込んでいると考えられる。

 つまり、もうすでに当SCの飲食売上げは、6億円近いと推測することができる。

 ご相談者には申し訳ないが、当SCでは当店の売上げが精いっぱいであると伝えた。

 業態がイタリアンといっても、“ブッフェ式ファミリーバイキング”である。こうしたスタイルでは、店の個性が出せない。イタリアンも競合過多の時代である。

 累積赤字が低いうちに撤退し、仙台市街に今流行の「ワイン、がぶ飲みバール」でも出店したほうが将来の発展につながると話した。

 悩みが吹っ切れたのか、“分かりました!”と明るい答えが返ってきた。

 ((株)日本フードサービスブレーン代表取締役/服部栄養学園マネジメント論講師 高桑隆)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら