うまいぞ!地の野菜(23)大阪府現地ルポおもしろ野菜発見「泉州ふき」

2000.03.06 199号 13面

「ビニールハウスで栽培しているフキも、意外に野生味が強いんですよ」と射手矢一郎さんが指差すうねには、収穫も終わり、春フキとして生長するフキノトウが、やわらかい春の日差しを浴びている。

射手矢さんが祖父からフキ畑を譲り受けたのは、一五年前。当時の泉州地区では、玉ネギや里芋など重量ものの栽培が盛んだった。

「家族の高齢化と重量ものの価格変動が激しいことを考えると、将来的には比較的安定しているフキに絞り込んだ方がよいのではと、以後、フキ一筋できました」と切り替えのいきさつを語る。

フキはキク科に属する多年草で、数少ない日本原産種。代表品種に愛知早生、水ブキ、秋田フキがあるが、「泉州ふき」は、愛知早生系。

大正3年ごろ、貝塚市清児に中河内郡の水ブキを導入したのが「泉州ふき」の始まりといわれている。

昭和の初め、水ブキより収穫期が早く収量も多い愛知早生が愛知から導入され、東の愛知、西の大阪貝塚といわれるほどの一大産地を形成する。

当初は露地栽培だったが、昭和32年ごろからビニールハウス栽培が普及。さらに栽培法が露地とビニールハウスの組み合わせ体系確立により、11月から6月ごろまで連続出荷が可能となった。

各農家によって少しずつ収穫期間は異なるが、射手矢さんは、6月に春フキを刈り取った後、主根を冷蔵庫に最低二ヵ月入れ、9月に定植、潅水、肥料を与える。収穫は、12月に始まり翌年6月まで続く。

「一〇年前までは一〇〇%化学肥料でしたが、今は九〇%が骨紛、油粕入りの動物性有機肥料を使っています」と胸を張る。

かつて隣地区でフキの病気がまん延する事態が起きた。さっそく研究所の指導で化学肥料を有機肥料に切り替えたところ、持ち直したうえ、収量も増えた。これを伝え聞き、教えを請いに行くが、詳しく教えてもらえず悔しい思いをする。

「JAの合併により、他人の商品を見る機会も増え、自分のものと比較するようにもなりました。少しでも良いものを」と試行錯誤の結果、自分流の栽培法をあみ出す。

化学肥料を使うと生長は早いが、主根に力がつかず若芽がまばらに出る。ところが有機肥料を使うと生長は遅いが、しっかり根を張り、次の代となる若芽が密集して生える。

「フキは太陽を嫌い、直射日光にあたると茎が赤くなる性質があります。まばらに生え、すき間が多いと赤くなり、赤いのは硬くて商品価値も落ちてしまいます」

同じ収量でも価格が下がったのでは、収益も低くなる。そのため肥料ばかりでなく、遮光にも細心の注意を払う。黒いビニールで囲ったり、光の当たりやすい外側から収穫したり、「毎年毎年が一年生です」とフキ作り名人は言う。

傍らでフキの選別をする奥さんのタツ子さんが、良いフキの見分け方を教えてくれた。

葉が鮮緑色、葉柄は黄緑色、溝は細い方が肥大して実入りが良いとか。

実家はミカン畑、野生のフキしか食べたことのなかったタツ子さん。今では、フキ料理メニューのイメージがどんどん湧いてくるという。

夫婦で一束四〇〇g、一〇束で一箱。一日八〇箱、年間一万箱を出荷する

■生産者=射手矢一郎J

A泉佐野市ふき部会長

(大阪府泉佐野市上之

郷郷田三三〇七、0

724・65・089

5)

■販売者=JA泉佐野市

ふき部会(大阪府泉佐

野市日根野四〇四〇‐

一、0724・68・

0600)

■販売価格=市場出荷だ

けで、四㎏約一〇〇〇

~一五〇〇円。

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