飲食トレンド:アウトバック・ステーキハウスが町田市に1号店

2000.05.01 203号 1面

企業は従業員のやる気をいかにして引き出すか。飲食店はおいしいことはもう当たり前。それ以外の付加価値やサービスで選別される時代に入り、サービスの主力となる従業員のマインド喚起が企業の新たな課題となってきた。このほど日本に進出、チェーン化に向けて一号店をオープン(4月20日)した米国最大手のステーキレストラン「アウトバック・ステーキハウス」は、店長が出資して経営に参加、業績に応じて利益分配を受け取る独自のシステムによって急成長した企業だ。

顧客最優先のサービスが同社の信条。店長を筆頭にホスピタリティーあふれるスタッフの接客が人気のポイントとなっている。

マネージング・パートナーと呼ばれる店長は、五年間の契約を結ぶ。最初に二万五〇〇〇ドル出資し、その後四万五〇〇〇ドルの基本給と、自分の店の利益の一〇%を受け取るインセンティブ制。店長の平均年収は一一万ドルだが、中には二〇万ドルを稼ぐ店長もおり、アメリカンドリームも夢ではない。

日本での展開も、同様の経営システムを導入していく予定で、「一号店の東京・南町田店の売上げ動向を見極めた半年後くらいに、利益分配率などの具体的な数字を決めたい」と、アウトバック・ステーキハウス・ジャパン代表取締役会長の住谷栄之資氏(WDIグループ社長)は話している。

日本での店長の年収は「一〇〇〇万~一二〇〇万円ほど」(同)を想定しているという。7月には品川に二号店となる都心型店舗を開店する予定である。FCは五年間で直営五〇店舗の展開を目指している。

こうした米国のハイリスクハイリターンタイプのマネジメントは、日本の外食産業にも影響を与えそうだ。

インセンティブ制など業績に連動した報酬体系を導入する企業は増えている。年功序列型の雇用体系や店長からスーパーバイザー、本社に上がるという出世方式は崩れ、今後は現場のマインドに支えられた人間性を帯びたチェーンが成長企業として注目されそうだ。

◆「㈲アウトバック・ステーキハウス・ジャパン」(代表取締役会長・住谷栄之資、代表取締役社長・ジョエル・シルバースティン)=全米で五七〇店舗、その他一六ヵ国で三〇店舗を展開するアウトバックステーキハウスが、日本でのFC展開に当たって「ハードロックカフェ」「カプリチョーザ」などを運営するダブリュー・ディー・アイホールディングと業務提携し設立した合弁会社。

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