UCC上島珈琲、業界初のネルドリップマシンを開発

2000.10.16 214号 3面

UCC上島珈琲(株)(東京本部=東京都港区、03・5400・5544)から、コーヒーのおいしさを最も良く引き出す抽出法として評価の高いネルドリップコーヒーを、だれでも簡単に提供できるネルドリップマシンが開発された。9月から全国の喫茶店やコーヒーショップ、外食店舗やホテルを中心に積極展開がなされ、同社では「業務用コーヒーの販売量の拡大と価値向上を図っていきたい」としている。

ネルドリップ式コーヒーは、昭和40年代の喫茶店が急増したころの抽出の主流で、ネルでコーヒーをこすというその抽出には、“匠の技”というか熟練の抽出技術が必要であり、しかも器具の扱いや保存に手間がかかるため、敬遠気味だった。

UCCが日本で初めて開発したのは、ネルドリップの高度でしかも熟練の抽出技術をマシンが忠実に再現することにより、だれでも手軽に本格的なネルドリップコーヒーを安定的に提供できるという画期的なコーヒーマシン「ネルドリップマシン」。同社では初年度展開計画としてゴールド、シルバーの二アイテム合わせて五〇〇台を販売目標にしている。

このネルドリップマシンの特徴は、おいしさを安定的に、手軽に提供できることだが、そのポイントは(1)コーヒーのおいしさ成分が抽出しやすいように、抽出前にコーヒー全体にお湯を注いで蒸らす(2)抽出時にコーヒー粉全体にムラなくお湯が行き渡り、まんべんなく抽出できるように、手で「の」の字を描きながら静かにお湯を注ぐ。こうしたネルドリップの高度な抽出技術を科学的に分析し、機械化したのがネルドリップマシン。

特にネルドリップの抽出技術で一番難しいとされている、手で「の」の字を描きながらお湯を注ぐという熟練者の抽出技術を、回転式のノズルを駆動させることで忠実に再現(特許出願中)し、従来のコーヒーマシンでは出せなかったネルドリップならではのおいしさを手軽に、安定的に提供することを実現した。

そのほか、一杯用と三杯用の抽出ボタンを装備し、オーダーによって抽出量を選択することができる。コーヒーを蒸らす時間、抽出時間、加水量を自由に設定でき、店にあった仕様に変更できる。スケルトン構造になっているため、コーヒーが抽出される過程が視覚的に楽しめ、店の演出効果を高める、など。

仕様は、外寸=幅五二〇㎜×奥行き三三〇㎜×高さ六七〇㎜。消費電力一二〇〇W。付属品カップ台六個。本体価格(1)ゴールド(NDM‐310G)四九万円(2)シルバー(NDM‐310S)四二万円。

◇斎藤義広取締役業務用営業本部長の話

今回のネルドリップマシンの開発は当社が今年、ザ・コーヒーカンパニーの理念のもとに、コーヒーを通じて一人でも多くのお客様に本当においしいコーヒーを常に創造しながら提供していきたいということの一つの表れです。いろいろな形でコーヒーをたてて楽しんでいただく方法があっても良いのではないか。

唯一、残されていたものがネルという素材を使ったドリップ方式のマシンが抜けているのではないか、ということで取り組んできた。蒸らし布巾を付けたような形の本来のドリップ機能を満載したマシンを開発することができた。まさにプロがつくるコーヒーの味が提供できるということになってこようかと思います。

●ネルドリップとは

コーヒーの持つおいしさを最も良く引き出す抽出方法といわれているのがネルドリップ。器具の構造は簡単だが、抽出過程における高い技術と熟練が要求される。ネルドリップは、こすタイプの抽出の原型であり、一八世紀にフランスで広まった。コーヒーの良い部分だけを抽出するため、液色は澄んでいて、繊細な日本人のし好に最も合うといわれている。

一般的にコーヒーの抽出には、コーヒー粉と液体を布やろ紙などでこして抽出する「透過法」(ドリップ式)と、コーヒー粉を熱湯に浸して抽出する「浸積方」(サイフォン式)があるが、ネルドリップはこの二つの抽出方法の利点を併せ持つため、コーヒーとお湯の接触時間をほどよい状態で保ち、コーヒーのおいしい成分をバランス良く抽出できる。

ネルはペーパーフィルターに比べて保持力が高いため、蒸らしがゆっくりと効果的に行われ、微粉量の少ない、濁りのない、なめらかな、おいしいコーヒーが抽出できる。

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