施設内飲食店舗シリーズ 千葉ポートスクエア、ポートタウンに飲食ゾーン
以前この場所には千葉市中央卸売市場があったが、それをスクラップ&ビルドしての施設建設で、第一期計画としてオフィス、ホテル、商業、イベント広場、ポートアリーナなどの施設が完成している。同地区は「千葉新業務地区」としての位置づけにあり、それに基づいての都市再開発事業で、第二期計画として近い将来住宅、商業、文化施設などの都市施設を建設する予定だ。また、地域へのアクセスとして新交通システムのモノレールも延伸される計画だ。
千葉ポートスクエアは、千葉中央港地区の敷地面積一万一二〇〇坪に展開しているもので、オフィス棟「千葉ポートタワー」(地下三階、地上二九階、塔屋二階)、ホテル棟「ホテルパシフィック千葉」(地下三階、地上二一階、塔屋二階)、商業棟「千葉ポートタウン」(地下二階、地上八階、塔屋一階)、スポーツ施設「千葉ポートアリーナ」(地下二階、地上三階、塔屋一階)ほか、ショールーム「TEPCO地球館」などから成る複合都市施設だ。
〇千葉ポートサイドタワー
地上高一二二mは千葉市でも有数の高さを誇る。延床面積一万五五〇〇坪の広さを有するインテリジェントビルで、現在、川鉄鋼板、川鉄商事、ハザマ、TEPCO、東京海上火災保険、NISSAY、千葉市教育委員会、千葉市都市整備公社、千葉市新都心開発などの企業および公的機関が入居する。
しかし、長引く不況のあおりで入居率は五割ほどで、ビル経営としては厳しい状況にある。オフィス人口二〇〇〇~二五〇〇人。
〇千葉ポートタウン
ポートスクエアの商業ゾーンで、物販、飲食、フィットネス、アミューズメントなどの施設が入居している。
フロア構成は次のとおり。
一階/新星堂(CD、ビデオ)、新星堂ROCK INN(楽器)、新星堂(書籍、文具)、ラオックス(家電製品、ブランド品、ゲームソフト)、ジャストスポット(コンビニエンスストア)、千葉メガネ(メガネショップ)、フルヤマ薬局(保険調剤、くすり、化粧品)
二階/トイザらス(子供用品、玩具)
三階/ラオックスザ・コンピュータ館千葉(情報機器)
四階/アミューズメントパーク・タカラ島(ゲーム&アミューズメント)
五階/鍋酒房「からり」(鍋料理)、杵屋(実演手打ちうどん)、ザ・どん(海鮮どんぶり)、コロラド(喫茶)、満亭(中華)、つつゐ(とんかつ)、はや(民芸肉料理)、味の一丁(和食)、オールドスパゲティファクトリー(スパゲティ)
六・七階RF/セントラルフィットネスクラブ
アネックス(二・三階)/マクドナルド(ハンバーガー)
アネックス(三階)/国際海洋開発、パシフィック商事(ポート展示)
JR千葉駅から一〇~一五分のところ。国道一六号線と千葉港に挟まれる形で展開する複合都市施設で、昨年10月にグランドオープンした。
・名称/「千葉ポートスクエア」
・場所/千葉市中央区問屋町一一三‐四、五
・土地用途/商業地域、準防火地域
・敷地面績/一万一二〇〇坪
・建築面積/九八〇〇坪
・延床面積/五七〇〇坪
◆「味の一丁」うまいもの市場
今年2月に入ってのオープン。大阪、神戸を勢力地盤とする外食企業で、計四〇店を出店している。この店は関東進出の第一号店で、店舗面積一一〇坪、客席数一二八席の規模をもつ。
店を和食と焼肉料理の二つの業態に分けて運営するという“複合タイプ”の店で、入口から店半分の席が焼肉、その奥半分が和食というフロア構成だ。
焼肉は特選ロース七三〇円、上カルビ五三〇円、上ミノ、上タン塩焼、石焼ビビンバ各五八〇円などの単品メニューほか、コースメニュー(二五〇〇円、三五〇〇円、四五〇〇円)が主力商品。
和食分野はマグロ造り四八〇円、イカの糸造り五三〇円、造り盛合せ一二八〇円、季節メニューとしてちゃんこ鍋一六五〇円、うどん寄せ鍋一五五〇円など。
また、一品料理として和洋中のメニュー、名物神戸ジャンボコロッケ六三〇円、地中海スパゲティ五八〇円、小海老のかきあげ三八〇円などをラインアップしている。
「安くてうまくてボリュームがある」というのが、この店の売りだが、客の店の使い方は半々に分かれる。
夜は和食、焼肉ともにコース料理に一〇〇〇円をプラスすれば「飲み放題」で、この店の大きなポイントだ。
客層はサラリーマンからファミリー客までさまざまで、客単価は昼九〇〇円、夜二〇〇〇円、売上げは平日四〇万円、日祭五〇~六〇万円。
すでに固定客が六、七割もついており、この店の集客力の強さを物語っている。
◆「からり」鍋料理
店舗面積一二〇坪、客席数一四〇席。店の看板に「鍋酒房」「ピリッときいた南国の味タイランド」とある。
店の主力メニューは、牛しゃぶしゃぶ一六八〇円、牛しゃぶ食べ放題二六八〇円、タイすき二六〇〇円、牛鍋一六八〇円(各一人前)、とうばん焼三六八〇円(二~三人前)など。
このほか、酒のつまみ類として大根とベーコンサラダ四八〇円、バイ貝の磯煮五二〇円、マグロおろし合え六二〇円、タイ式さつま揚五五〇円、辛珍味四二〇円などを提供している。
アルコールはビール、日本酒、ウイスキー、酎ハイ、各種カクテルと揃えており、飲んでよし、食べてよしの運営形態にある。
しかし、タイすきについては、東京では広く知られた存在にあるが、千葉ではまだ馴染みがうすく、浸透していくにはまだ時間がかかりそうだという。(佐々木美香子店長)
客層はサラリーマン、OL、カップル、ファミリー客など。客単価は昼一〇〇〇円、夜二〇〇〇円。店の売りものに対しては客単価が低い印象だが、とくに夜の客数および客単価が小さいので、この点の向上が大きな課題だという。
◆「OSF」
店舗面積一八〇坪、客席数は一般席二〇〇席、バンケットルーム八〇席(立喰一〇〇席)の大型店だ。店内はゆったりとしたフロアレイアウトで、内装はアンティックを基調にメルヘンティックな雰囲気だ。
デュラム小麦のイタリア・アウディシオ社の乾麺を使ったスパゲティ(一六品目)が売りものだが、人気メニューは「四種類のソースのスパゲティ」(ミート、クラム、マッシュ、チーズ=ポーポリー)一二四〇円、アサリのトマトソーススパゲティ(アサリを使ったトマトベースのスパゲティ、バター風味)一二四〇円などだ。
このほかにはデザートメニューだが、アメリカから輸入のスプモニーアイスクリーム、スタッチオ、ローズ、カカオの三種(各二〇〇円)も人気商品だ。
客層は平日がサラリーマンやOL、若者のグループやカップルが中心だが、土日はファミリー客やカップルが主体になる。
客単価は昼八八〇円、夜一三〇〇円。姉妹店が高田馬場、名古屋、千葉天台、川越、相模原、神戸、上尾の七店があるが、すべてアメリカのオレゴン州ポートランドで生まれたOSFとのFC契約に基づいての出店だ。
千葉ポートスクエアは「千葉中央港地区」再開発事業の先行プロジェクトとして具体化されたものだが、この地区の開発構想は(1)業務・文化機能軸の形成(2)風格のある業務街の形成(3)次代にふさわしい商業核の形成(4)複合機能ゾーンの形成‐‐の四要素を大きな柱にしている。
これはまた、「政令指定都市」千葉市の新しい都市空間として推進されるもので、ポートスクエアは千葉ウォーターフロントの一角にあって、“水と緑と光と風”をコンセプトに誕生した複合都市施設だ。
しかし、現在の再開発段階においては、このコンセプトはスローガン的な範囲にとどまっており、具体的な施設づくりには生かされていない。
つまり、ウォーターフロントとしての立地特性が活用されていないし、近接地との連動もなく、単なる複合都市施設という印象を強くする。
もっとも、計画が予定されている第二期プロジェクトにおいては、このコンセプトが取り込まれて親水性のある施設展開となる模様だ。
「第二期のプロジェクトでは今の施設の南側、さらに海に近づきますので、水辺を生かした施設建設が可能で、コンセプトどおりに魅力ある施設展開になるのではないでしょうか」(千葉ポートスクエア管理(株)業務部取締役泉伸次朗部長)。
施設にすぐれた機能が備わっていても、立地特性を含め総体としての集客力がなくては、施設経営はなり立たない。
ポートスクエアはたしかにそれ自体はすぐれた複合都市施設だが、前記の理由で客を回遊させ、ストレートに吸引するには現在のところは迫力不足だ。
とくに商業ゾーンへの集客は、近接地の千葉駅前のそごうデパートおよび駅前商業ゾーンに優位性があるので、ストレートに客を呼び込むという状況にはなっていない。
このため、ポートスクエアのイベント広場では、“どっきり市”などの開催によって集客力を高める工夫もおこなっている。
ポートスクエア商業ゾーンへの目下の集客数は月間平均一二~一三万人だが、この六、七割は地域からの来街で、残り三、四割がドライブ客という内容だ。
客層は平日がオフィス関係者、土日がファミリー客やカップルが主体になるが、平日はオフィスワーカーの利用にウエートがかかるので、一般客をどう多く吸引するかが、大きな課題だ。
〇ホテルパシフィック千葉
国際級のシティホテル。二七〇室。延床面積一万二〇〇〇坪。レストラン五ヵ所(仏・中国・日本料理、鉄板焼、カジュアルレストラン)、バー・ラウンジ三ヵ所(メーンバー、スカイラウンジ、ティーラウンジ)、宴会場一二室(大宴会場、中宴会場、小宴会場)、結婚式場二ヵ所(チャペル、神殿)
〇千葉ポートアリーナ
延床面積一万一〇〇〇坪。スポーツ体力増進部門/スポーツ相談室、体力測定室、トレーニング室一二、幼児体育室、情報研究部門/情報コーナー、展示コーナー、研修室
〇TEPCO地球館
地球について自然、環境、エネルギー、文明、文化など多様な視点から楽しく学ぼうというテーマの施設で、千葉の新しい文化・芸術活動の拠点という位置づけにある。
施設はギャラリー併設の「メリーゴーランド広場」(二階)、地球ワンダーランド(同)、映像ミュージアム(三階)、「地球館ホール」(四・五階)という展開で、子供から大人までが楽しむことができる。