“屋台村”さまざま もどき型=ブームに乗った短期決戦店舗

1994.05.02 51号 2面

屋台村もどき型は、ブームの威を借りた典型的な短期決戦の店舗だ。そのため建築の投資コストも通常の屋台村よりはるかに安く、テント張りの店舗で許認可を取らないで営業するケースもままあるようだ。

この形式は不動産関係者が空地の有効活用として手掛けるケースが多い。だが実際は、現在膠着状態にある不動産の税対策のためだ。ある屋台村もどきの場合、そこは都心の一等地に約三〇坪の店舗を構えるが流行っているとはお世辞にもいえない。だがそれを出店した不動産業者によると、店舗営業で採算はとれないが、あくまで土地活用であるという。空地だと対象となる土地保有税の年間約三〇〇〇万円が免除されるという。景気回復の兆しが見えるまでの一時しのぎと割り切っているようだ。それだけに投資コストは出来るだけ安く、撤退はすみやかに運べることが店舗運営のコンセプトといえる。

都内に展開する「たこ焼亭チェーン」では去年の夏から新橋店の脇の空地でテント張りのたこ焼が主力のビアガーデンを展開している。同店を手掛ける(株)東京コンチネントでは、「空地の有効利用として手伝って欲しいといわれ、始めた。今や屋台村もどきを進めるプランニング会社がはびこっている」(壽野部マネージャー)。

夏季限定のはずが、延長して現在まで続き、店舗もいまや完全な屋台村もどきと化している。雑誌の取材も相次いでいるそうだ。だが「契約期間もあいまいなので、いつまで続くか分からない」と設備投資に消極的だ。

いずれにせよ、こうした屋台村もどき型は、不動産主導の形態で飲食店経営とはいえそうにない。

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