地域ルポ 稲毛海岸(千葉・美浜) 人口急増するベイニュータウン
京葉線稲毛海岸駅は乗降者数約四万人。その数は毎年一割前後のペースで増えてきており、新興ニュータウンとしての勢いをみせている。
同地域は駅を軸にしてみれば、沿線の東隣が千葉港にアクセスする千葉みなと、その反対の西隣が検見川浜、南は東京湾に面したレジャーゾーンの稲毛海浜公園(人工海浜いなげの浜)、北は国道一四号線が東西を貫くという位置関係にあり、比較的まとまった地域に都市施設がインテグレードされている。
行政地番でみれば、街は京葉線で南北に分断される形になっているが、北側地区が稲毛海岸一丁目~四丁目、高洲一、四丁目、南側地区が高洲一丁目~三丁目、高浜一丁目~七丁目という区分で、大まかにみれば、駅南側に大型商業施設やホテル、レジャー、スポーツゾーンが、北側に小売商業、住宅、公共、教育施設が展開するという形。
駅を中心軸にして半径四㎞圏の世帯数は約七万世帯、人口二二万人で、千葉市の人口(約一〇〇万人)の二割近いウエートを占めており、京葉線沿線でも有数の商圏を形成している。
東京から約五〇分。京葉線稲毛海岸(千葉市美浜区)は東京ベイエリアでも有数の再開発地域として知られており、千葉市でも人口増加が最も著しい地域として注目を集めている。61年3月に京葉線が開業したことに伴って、地域の再開発にハズミがついたわけだが、ベッドタウンの機能に加えては、扇屋ジャスコ「マリンピア」や忠実屋「ディスパ」など大型ショッピング施設を核にして、商業施設の集積も進んできており、新興都市でありながら独自の街の魅力を訴求している。
京葉線は新木場からは高架になっており、稲毛海岸駅に近づくと、右手浜側には大型商業施設のジャスコマリンピアほか、いくつかの大型施設が目に入る。
遠くから見た限りにおいては稲毛海岸は、駅南側に商業ゾーンが展開し、反対の北側は規模の小さい商業ビルが建つという程度で、周辺は集合住宅などで比較的フラットな街並みという印象だ。
マリンピアの見えた駅南側に出る。駅前広場としてのゆったりとした空間が展開する。その正面にマリンピアが建つ。
この施設については後述するが、同施設は地上四階、地下一階の規模で、千葉市の海岸埋立整備計画の一環として建設されたもので、昭和59年4月、衣料・ファッション、リビング用品、食品、飲食店舗など一二〇店が入居する千葉市最大のショッピングセンターとしてオープンしている。
マリンピアの東側は四車線道路をはさんで、一一階建てのスポーツビル「セントラルフィットネスクラブ」、この一階にはミスタードーナツやデニーズなどの大手飲食チェーンが出店している。
このビルの南側は道一つ隔てて、忠実屋のディスカウントストア「DISPA」が展開する。
昨年春まではマリンピア同様のショッピングセンターであったが、集客力が十分に発揮できなかったので、低価格志向の消費者ニーズに対応して、ディスカウントストアに業態を転換したというわけだ。
このディスカウントストアは、地上四階、地下一階建てで、地下一階が食品、地上一階ファッション専門店、二階住まいとファッション、三階が家電とリビング、四階および屋上が駐車場というフロア構成だが、一階の歩道に面してマクドナルドとテークアウトのちよだ鮨が出店している。
これら飲食店舗への客層は主婦層やティーンエージャー、ファミリー客が主体で、とくにマクドナルドは日曜、休日ともなるとヤングやファミリー客で大賑わいという状況を呈している。