飲食トレンド 息吹き返してきた屋上ビアガーデン、ショータイムで集客アップ
屋上ビアガーデンのよさが見直されてきたというのだが、果して現実はどうか。都心部のいくつかのビアガーデンを取材してみた結果では、かつて(昭和40年後半から50年前半にかけて)の熱気は感じられないが、しかし、天候に恵まれた日であれば、どこも満席の盛況で、まだまだビアガーデンは健在という印象を強くする。
ビアガーデンは改めて説明するまでもなく、暑気払いで屋外での開放感が大きな売りものだが、この立地は駅前のデパートや都市(オフィス)ビルの屋上が一般的で、加えて近接地にビジネス街が展開しているということがベストロケーションだ。
施設の大きささは、営業面積が三〇〇~四〇〇坪、客席数三〇〇~五〇〇席前後が標準的だが、キャパシティが大きいことと、営業時間が短かいこともあって、客回転は一~一・五回転といったところで、短期集中型のアルコール業態といえる。
営業時間は午後5時、6時から9時、10時ごろまで。営業期間は5月中旬から8月末および9月初旬までの四カ月間で、この間に一億二、三〇〇〇万円を売上げるというのが、一般的なケースのようだ。
しかし、ビアガーデンは天候に左右される“ウエザー・ビジネス”でもあるので、コンディションが悪いと、営業中止ということになる。
このため、人手の問題や食材のロスをどう出さないか、また、逆に繁忙時の集中客をどうコントロールしていくかが、大きなポイントになる。だが屋上ビアガーデンは設備費(出店コスト)がかからないというメリットが大きく、天候がよければ、短期間に高収益があげられるというアルコールビジネスでもある。
都心の東京・八重洲、新橋、池袋、浅草橋の四地域のビアガーデンを取材したので、その実態を紹介する。
東京駅の大丸百貨店一三階屋上。四七〇坪、三二〇席の施設規模で、今年5月13日に四年振りに再オープンした。
日本有数のターミナルでのロケーションに加えて、八重洲通りや日本橋、京橋地区などのビジネス街が近接地区に展開しているので、集客が大きく見込める立地条件にある。
営業時間は17時から22時まで、9月6日まで無休で、一一七日間の営業日数。四年振りの再開ということで、強くイメージをアピールしていくために、三二〇席のうち二三二席に鉄板焼のテーブルを導入して、セルフクッキングを楽しんでもらうという趣向にした。
テーブルでのガスの使用は消防法により難しいのだが、都市ガス配管とテーブルを固定するということで、当局の許可を得て、鉄板焼の営業を可能にした。
アルコールは、アサヒスーパードライ生ビール大八五〇円、アサヒ黒生ビール中七五〇円。
料理の主力はバーベキューセット二五〇〇円、ジンギスカン二〇〇〇円、お好み焼、焼そば一五〇〇円(各二人前)などで、平均客単価三〇〇〇円、営業期間内の売上げを一億二〇〇〇万円前後と目標を立ている。
(2面につづく)