ご飯という加工食品「日配品炊飯と冷凍・無菌包装米飯」 保存性でロス回避

1993.07.05 31号 16面

景気の低迷が長引き個人消費の伸悩みが響いて、家庭での食事の機会が増加していることや、消費者の和食、健康志向から米飯が見直されている。外食産業でも、和食専門居の新規展開や、洋風レストランでの和食メニューの採用が増え、丼物などは若い年齢層にも人気メニューとなっている。また、デパートやコンビニエンスストアの店頭では、おにぎり、弁当など持ち帰り米飯の売行きが依然好調である。

外食市場や中食市場の拡大に伴って、各種調理食品の中で、米も単なる素材としてではなく、ご飯という加工食品としての位置付けや流通が定着しつつあるようだ。

地価高騰による賃借料の上昇や人件費の上昇などから厨房スペースの縮小や手間のかかる炊飯の省力化のため、店舗での炊飯を外部依存に切り替え、日配の炊飯サービスに依存したり、保存性のある冷凍米飯や無菌包装米飯を利用する流れが一段と強まっている。

(社)日本フードサービス協会の加盟各社へのアンケート調査「米の消費需要に関する今後の見通し」の結果でも、この傾向を示している。

ご飯は劣化の早い食品であるため、品質管理に厳しい大手のファストフードチェーンでは炊き上げ後三〇分、大手のレストランでは三時間経過で全て廃棄するようにマニュアル化している。そのため、閉店時の残飯を含め大手のレストランの場合二~三%のロスは避けられないようだ。

これに対し、加工米飯は保存性があり、最近問題となっている食品の鮮度保持のための一日多頻度配送の必要はなく、また、客数の不安定な早朝や深夜帯でも、常時ロスを出さずに対応できるといった有利性と利便性がある。

日配の米飯商品を除き、比較的長期保存性のあるものに焦点を当て、その生産量を食糧庁の調査でみると、九一年で一三万一三四九tで前年対比八・四%の伸びとなっている。五年前との比較では、約二・七倍と急成長しており、他の多くの食品が成熟期に入っている中では注目される成長商品である。

これを種類別にみると、冷凍米飯が九万五〇〇〇tで全体の七〇%を占め、続いてレトルト米飯が一七%、無菌包装米飯が四%の順となっている。伸び率でみると、前年対比冷凍米飯の八%に比べ、無菌包装米飯が約二倍の高い伸びを示している。

品目別では混飯(ピラフ、チャーハン)が全体の六五%を占め、かゆ、雑炊類と白飯がそれぞれ六%を占めている。特に白飯の伸びが、前年対比で四〇%と高い伸びを示していることが注目される。

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