シェフと60分 名古屋ターミナルホテル調理部長・村岡諒一氏

1993.06.07 29号 14面

今年3月のオープン。池袋東口西武百貨店の前。八階建てジョイパックビルの三階。経営は㈱ヒューマックスエステート(本社東京・新宿)。姉妹店が六本木にもある。不振のディスコクラブを転換してのオープンだけに店舗面積一五〇坪、客席数一五〇席と店の規模は大きい。

一階からエレベーターで上がっていくと、即店のフロントにアプローチする。客席は広々としており、二人から四人掛けを単位に、一二人、一五人、三〇人(最大一五〇人)とグループ、パーティ客を収容でき、ゆったりとしたレイアウトになっている。

店の造りは天井とテーブルが黒、床と壁面がカーキ色といったカラーコンディションで、重厚(シック)さと気軽さが混在する。二面性をもった内装デザインということだが、店内照明は白色灯を多様しているので、全般的に華やいだ雰囲気もアピール。

この店の売りものはもちろん“タイしゃぶ・タイ料理”だが、各種アラカルトもそろえているほか、ビールをはじめ、トロピカルカクテルも豊富で、飲んでよし、食べてよしの運営形態となっている。

タイしゃぶは日本の牛しゃぶ料理や寄せ鍋料理に似ているが、タイしゃぶ料理の場合は新鮮な魚介類ほか、野菜類、魚介類と肉類のすり身ボール(だんご)、ワンタン、春雨、エビ海苔巻きなど多様な材料を使い、これを辛口のタレで食するというスタイルのもので、日本のしゃぶしゃぶ料理よりもはるかに食材の幅が広く、バラエティーに富んでいる。

同店のタイしゃぶは、鍋の特製スープに好みの具を泳がして小網ですくい上げ、これを辛さの効いたオリジナルのタレにつけて食し、最後は具でダシの出たスープにご飯や麺類を入れて、食事メニューに仕立てて食するというもので、栄養価も満点のもの。「まだオープンして間もないので、客単価は目標より少し低いんですが、いろんな具が食べられるのでカップル客も多く、日を追って地域になじんできているようです」と竹内淳店長。

メニュー数はアラカルトを含め、全部で約三五種。この中から好みのメニューをチョイスするわけだが、スープを時間をかけて作った特製のものでなるほか、タレはナンプラー(タイしょう油)に、パクチー(香草)、各種唐辛子など一〇数種類のスパイス、調味料をミックスして調製したオリジナルのもので、独特の甘辛さが胃袋を刺激する。

「私も好きでよく食べます。具の中には、正直いってキライなものもありますが、自分が好きでないものは自信をもって売れませんから、本当にクセになるおいしさなんです。食材は日本でほとんど手当てできるものですが、香辛料はタイから取り寄せていますし、料理は本場のそのものにタイ人のコックが作っています」(竹内店長)。

料理(味づくり)は本場タイと同じで、いっさいアレンジしていない。タイの料理人は六人。厨房作業はすべて任せている。ホールは日本人でアルバイトを含め一〇人が担当している。

客層の設定は二五~三六歳の男女が主ターゲットであるが、オープン後の使われ方として、以外にも若いカップルの利用が多いので、二人用のカップル席を増設することも検討している。

「エキゾチックな料理形態ですし、いろんな貝が楽しめますから、若い男女のデートスポットとしても利用されているようで、意外にもカップルの来店が多いという結果を出しています。割合としては全体の三、四割くらい。ですから、このウエートを高めていこうということで、カップル席の増設を考えているわけです」(本社レジャー事業部飲食課伊藤公治課長代理)。

現在の平均客単価は三五〇〇円、目標客単価は四五〇〇円だが、一〇〇〇円ほどアンダーとなっている。5月17日からランチメニュー四種(一〇〇〇~一五〇〇円)を導入した。三五〇〇円からのコース料理、オーダー数の低いアルコールメニューのお勧めなどにも力点を置いて、目標をクリアしていく方針という。

住所/東京都豊島区南池袋1‐21‐2

ジョイパックビル3F

電話/03・3983・4291

営業時間/午前11時30分~午後2時30分(ランチ)、午後5時~11時30分(無休)

《タイしゃぶ・タイ料理 メニューの一部 》 ・有頭エビ ¥500

・白身魚 ¥700

・帆立貝 ¥600

・いか ¥600

・海老ボール ¥500

・ハウスフィッシュボール ¥600

・牛ロース ¥800

・鳥肉 ¥600

・肉の海苔巻 ¥500

・やさい一品 ¥300~

・センレック ¥300

・春雨 ¥300

・おじやセット(2人前) ¥400

(しま・こうたつ)

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