企業直営(FC)を求めて レストラン森永「森永ラブ」 容器再使用も軌道に

1992.09.21 12号 20面

㈱レストラン森永(東京都港区、03・3455・6660)が展開するファーストフードチェーンの「森永ラブ」は、今年4月から芝浦本社ビルの駐車場内に実験店舗として「芝浦ビル店」を開設。一五項目にも及ぶ様々な先端的な試みを行い始めたが、その中でも出色なのが「タッチオーダーシステム」の導入実験である。

「タッチオーダーシステム」とは、店員がお客の注文を聞くというのではなく、客が画面に現れるメニューに指を触れながら注文していくというもの。機械操作自体はそれほど難しいものではなく、またシステムとしても銀行などでATM(現金自動預け払い機)に慣れ親しんでいるので違和感がないが、現在のファースト・フードがすべて元気な掛け声(?)と共に注文を聞くというシステムからすると、相当思い切ったシステム変更であるといえそう。

このシステム導入の最大の目的は“省力化”。ただ、この“省力化”とは、いかに人を減らすかということではなく、今いる人間でいかにより多くのお客に対応できるか、という前向きの発想から来ているもの。その背景としては、やはり人手不足があり、一〇人募集しても五人しか集まらないということからこの発想がうまれたという。

したがって、このシステムは機械処理できる部分は、極力機械化してしまおうというもの。お客が画面で注文すると同時に、注文内容は厨房内のディスプレー内にも表示され、素早く調理されて出てくると共に、購入金額の計算がすべて自動的に行われる。もちろん、注文内容はカウンター内にも同時に表示されているために、従業員は次々と注文内容にしたがって品物を取り揃えていくということになる。

このシステムの最終目標は一人の従業員で二人の客を処理しようということ。しかし、まだ改善する点も多く、完成までにはしばらくの期間を要しそうだ。たとえば、オーダーやキッチン回りなどについては順調にいっても、揃える方がついていけない時もあり、この受け渡しシステムの部分で改善すべき店もあるとのこと。

ただ、この部分も実験店の立地条件による特徴(典型的なビジネス地区で、短時間に持ち帰りで大量の注文が入るなど)が出ているということからきているが、いづれにせよ、こういった特殊条件も克服できるシステム完成を目指している。

このシステム導入に当って一番心配されたのがお客の“拒否反応”であったが、この点については気が抜けるほど予想外に拒否反応がなかったという。“自動化”がまさに世の中にあふれて、ちょうど良い時期に実験が始まったということと、都会では意外にスキンシップを重要視していないということが背景としてあるようだ。むしろ、従来のオーダーシステムを“わずらわし”く思っていたとも考えられそうである。

実験店では、この他にイートインのドリンク容器に、洗って繰り返して使うボリカーボネイト製容器の使用も始めた。“省資源”はもちろんであるが、店内から出るゴミの量を“大幅に削減する”のが最大の狙いとなっている。この狙いはズバリ当たり、ゴミの出す量は既存店の五分の一以下になったという。

そして、この試みの副産物として出てきたのがまたまた“省力化”であった。つまり、この容器採用によって洗浄器の導入が不可欠となったわけだが、この洗浄器の採用によって容器ばかりではなく、あらゆるものを洗浄器で洗ってしまうことが出来るようになった。

結果として、従来の“洗う”という作業が無くなったわけで、ゴミの削減化計画は思わぬ省力化の一方向を示すことにも連がっている。

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