シーフード・ビジネス最前線 「中納言」夜の客単価1万5000円の高価格

1992.08.17 10号 15面

かに道楽のカニに対して、中納言は伊勢エビを看板メニューにして、独自の外食マーケットを開拓している。店舗の出店は神戸、大阪が中心であるが、一〇年前に東京にも進出、現在、銀座、大森と二店舗を出店している。

メニューは伊勢エビの一品料理からコースメニューまで多様性があるが、一品ものであれば、伊勢エビの活造り六五〇〇円、塩焼二五〇〇円、ぞうすい一五〇〇円、クリームコロッケ一二〇〇円、コースものならAコース六五〇〇円、Bコース七〇〇〇円、Cコース七五〇〇円、看板メニューの活伊勢海老コーススペシャルであればA~Dの四メニューがあり、Aコースが八二〇〇円、Dコースが一万三五〇〇円と全メニューの中で一番高いメニュー単価になる。

メニュー単価から判断する限りにおいては、一般大衆向きのプライスではないといえるが、デラックスな雰囲気の中で月に一度くらいはリッチな伊勢エビ料理を食するのもよい。そういう意味においては、中納言の出店戦略は客層のアッパークラスを狙ったものであるし、あるいは法人の接待利用のニーズにターゲットを合わせているといえる。

客単価は昼四五〇〇円、夜一万五〇〇〇円。昼の四五〇〇円は無理すればクリアできるとしても、夜はやはり一般向きのプライスゾーンではない。中納言の出店政策は、アッパークラスの高客単価を狙った考え方なのである。

現在の出店数は関西一三店、東京二店の計一五店舗。創業二〇年になるが、一年に一店舗のペースでもなく、正直いって出店速度はノロイ。高客単価を設定した出店形態であるので、出店の場所も限られるし、またそれだけ店舗造作、出店コストもかかる。

事実、中納言の店舗開設資金は一店平均で約三億円と見積っている。極めてテンションの高い出店コストといえる。このため、一店当たりの平均年商も約五億円、利益率一三%前後と高く設定している。資本一・六回転強、計算どおりにいけば、高収益店舗といえるが、東京進出の拠点であった赤坂店をクローズドした経過もあり、図式どおりにはいかない面もある。

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