地中海料理ブームを読む 日本料理は異端の料理
世界の三大料理というといろいろな説が出るが、二大料理というと中華料理とフランス料理というのが衆目の一致するところ。その料理法、味付けの仕方、ソースの開発など一つの文化と呼ぶにふさわしいものだ。ただ中華とフランス料理のルーツを追っていくと、悪い素材をいかにおいしく食べさせるかという切実なニーズから出発していることが分かる。これが「食う」ことではなく「料理」の始まりである。
絶対権力を持った王の「うまいものを食わせろ」という理不尽な命令に対し、料理人が汗水を流しながら作り上げていったのが中華料理やフランス料理の調理法でありソースであった。世界各国の料理も地域の食材をメーンに同じような歴史をたどっている。
そのような世界の流れに全く逆らっているのが日本料理である。日本料理はひたすら素材の新鮮さを目指し、調味料も素材の味をあまり殺さない醤油を基本としている。これは、四方を海に囲まれ豊富な海の幸があるのと、何よりもそれだけでおいしい「おコメ」があったからである。
ただ現在の世界料理の流れは、ヘルシーをキーワードに、また新鮮な素材が豊富に手に入ることもあり、フランス料理のヌーベルキュイジーヌを筆頭に日本料理の手法を積極的に取り入れるようになっている。