ピザ・パスタ 話題のローカル店「イタリアンキッズ」規模よりアイデアで

1997.09.30 136号 27面

宮城県仙台市の「イタリアンキッズ」は、クリスピーピザとパスタを専門とするイタリアン志向の単独デリバリーショップ。業態特化で他店との競合から抜け出た典型的な成功例である。月商四〇〇万円前後と数字的には平凡だが、プレミアム路線でユーザーからは根強い支持を集めている。デリバリーイタリアンという潜在ニーズを開拓できるとして、これから本格的に多店舗化する考えだ。

同店を手掛けるのは、地場のデリバリーピザチェーン「グーグーキッド」を展開する(有)東北ロデム。「グーグーキッド」でクリスピーピザをアイテム化したところ、予想を上回るの好反響を得たため、イタリアン路線の業態特化に乗り出した。

業態特化が、競合から抜け出す方法として通用するか否か確かめる狙いもあった。「イタリアンキッズの商圏内だけで一〇数店とバッティングする。アンテナショップとしては最適な場所です」と代表の千葉右幾さん。

オープンから一年を経過したが現在、月商は四〇〇万円前後と順調。バイク四台、商圏一・五㎞という控えめなパッケージでありながら、この数字は大成功を意味する。

「デリバリーピザ店とは違う、といった印象がお客さんに強いようで、スタッフも競合をまったく感じていません。事実、オーダーはリピートがほとんどだし、キャンペーンもあまり打ってない。また、驚くべきことに月商はオープンからほぼ一定なのです。乱れがないだけに、この業態の潜在ニーズは各地にあると思いますね」

「オープン当初から変わったのはピザとパスタのオーダー比率。当初は七対三でピザが勝っていたのですが、いまは五対五。これはイタリアンキッズがイタリアンデリバリーとして認められた証拠だと捉えています」

とはいえ、オープンするまでには大変な苦労があった。クリスピータイプは冷めるのが早い。そのため熱々のまま届けねばならないぬデリバリーには正直いって不向き。

「焼成後の保温を保つための粉配合が重要なノウハウ。配合テストだけで半年は費やしました。ヒントはイタリアンピザの基本に帰ることですね」

クラストはエキストラバージンオリーブオイルを練り込んだ風味豊かな焼き上がりが自慢。素材の持ち味を生かすシンプルな手づくで、従来のデリバリーピザ店とは逆行する職人志向で行こうと考えている。

「イタリアンキッズ」の初期投資は三〇〇~五〇〇万円。オーナー利益は八〇万円前後。競合から抜けだし、コンパクト展開で、リピーターの根強い支持をつかめるからこそ可能な数字だ。

大手チェーンとは違う方向性を見つけた千葉さん。新規ニーズの開拓を呼びかけ、今後はFCを募る意向だ。

社名=(有)東北ロデム/代表者名=千葉右幾/創業=平成元年1月/設立=平成元年1月/所在地=宮城県仙台市若林区上飯田4-1-83/TEL022(289)7050/FAX022(289)7051/社員数=8人/資本金=500万円/決算期=8月/創業店=若林店/モデル店=原町店(イタリアンキッズ)、若林店(グーグーキッド)/店舗平均月商=400万円前後/基準店舗フォーマット=店舗坪12坪、1.5㎞・3万世帯(イタリアンキッズ)、2㎞・4万世帯(グーグーキッド)、バイク4台(イタリアンキッズ)、4~5台(グーグーキッド)/客単価=2800円(イタリアンキッズ)、2400円(グーグーキッド)/クラストサイズ=(イタリアンキッズ)M(25㎝)L(30㎝)、(グーグーキッド)S(21㎝)M(25㎝)L(36㎝)

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