うまいぞ!地の野菜(4)山梨県、複雑な地形生かした多彩な特産物
山梨県は本州のほぼ中央に位置し、富士山をはじめ日本第二位の北岳など三〇〇〇m級の山々などに囲まれ、わずかに釜無川、笛吹川に沿って甲府盆地がある山地の多い地形にある。
県土総面積四四万六五三七ha、八割が山林を占め、耕地面積は二九万一〇〇ha。総人口八八万九一七七人、農業人口は一二万二三五〇人。専業農家率は比較的高い。
平地の少ない複雑な地形は各地域の気候、風土を大きく変え、これらの条件をたくみに生かした特色ある産業を生み出している。
中央盆地地帯では果樹栽培が古くから行われ、江戸時代には甲州の特産としてリンゴ、カキ、ザクロ、クリ、ブドウ、ナシ、ギンナン、モモが「甲州の八珍果」として全国に知られていた。現在もブドウ、モモ、スモモなどワイン製造とともに日本一の生産量を誇る特産物となっている。このほか最近は施設栽培野菜や特産露地栽培野菜の生産増加が著しい。
北西部では水稲が主であったが、果樹など高収益作物への転換が進められている。また、富士山麓の高冷地では夏の冷涼な気候を生かした高原野菜、南部は逆に温かい気候を生かした茶の栽培が盛んである。
大消費地に近い立地を生かした商品作目が増加するなか、特化野菜への取り組みも注目される。