看板と屋号(2) 「竹邑庵太郎敦盛」黒いそばと山盛りのネギ
新橋れんが通りに程近い立地にある「竹邑庵太郎敦盛(ちくゆうあんたろうのあつもり)」。黒々とした麻布に「黒いそば」と白く抜いた文字が目に付く。
関西では熱いつゆをかけたり、厚く盛り上げたものなどに敦盛(あつもり)という言葉をかけてメニュー名にするのはごく一般的。
竹邑(ちくゆう)は人が集うの意。これらを合わせて京を思わせる屋号「竹邑庵太郎敦盛」が生まれ、医食同源を信条に、女将の小林恵子さんが京都から東京に乗り込み丸四年になる。
「一〇人が一〇人きっちり読んでくれはる人はいらはりません」と女将は嘆く。
看板の書は、京都の店の常連客で、酒が入ると筆を持ってこいと命ずる粋な呉服屋の旦那が書いたもの。
全粒粉の真っ黒なそばはつなぎに山芋と卵の白身を使い、つゆはミネラル豊富な沖縄の黒糖を使ったもの。圧巻は輪島塗椀に山と盛られた九条ネギ。週二回、京都から空輸で届けられる。
「おいしいより、とことん健康食を目指したら、ネギも半端な量ではいけません」ときっぱり言い切る。
黒いそばと山盛りのネギが病みつきとなった客も増えている。
◆「竹邑庵太郎敦盛(ちくゆうあんたろうのあつもり)」=東京都港区新橋三‐一五‐六、村上ビル、Tel03・5473・8803、営業時間午前11時~午後3時、5~11時、日曜・祝祭日休