うまいぞ!地の野菜(13)神奈川県現地ルポおもしろ野菜発見「レディーサラダ」

1999.02.01 171号 13面

生食ピッタリ

「この地帯は土壌もしっかりしており、大根一〇〇年、キャベツ五〇年の長い歴史を誇っています。でもこれに安住してはいけない、今の食生活に合わせた新製品を開発しなくてはと思っていました」という重田喜清さん(62)をはじめ、地元農家の強い要望から生まれたのが、赤い大根「レディーサラダ」。

三浦大根はこの地の野菜として長い間君臨してきた。ところが白くて大きな大根では時代のニーズに合致せず、青首大根が開発され、今では市場のほとんどはこの品種で占められるようになった。

「周りの畑はどんどん三浦大根から青首大根に切り替えられ、私も同じに青首大根と春キャベツをメーンにやっていました」

ここで三浦市農協の協力で消費者ニーズに合わせバラエティー化した「三浦大根群」が開発され、新しい大根としてイタメ大根、商品名「グローラリー」を栽培、出荷するが反応は今一つ。

続いて、見た目も色鮮やかな赤、食感もシャキシャキ、辛みのきいた生食にはピッタリの大根「レディーサラダ」を発売。市場反応はまずまず。当初の栽培農家は十数戸だったが、今では四十数戸に増え、少しずつではあるが出荷数量を伸ばしている。

高い商品価値

三崎町の一画は収穫期になると一面、青首大根で埋め尽くされる。その畑の隅にわずかながらの面積を占めているのがレディーサラダ。

重田さんは一三五aの土地を所有。七〇%が青首大根、二八%がキャベツ、残りの二%がレディーサラダである。

「小さいもので収穫するので面積は狭いが青首より効率良く、また、収穫期もずらしているので商品価値も高い。面積も広げたいところだが、手間も掛かるため今のところは手いっぱいです」

大根は一本一本成長の速度が違い、早いもの、遅いものと雑多。ちょっと時期を遅らせると規格外になる。

「一本でも、すが入ると全体のイメージが崩れるため、大きくならないようにしているんですよ」と畑から一本一本吟味しながら引き抜く重田さん。共同出荷する組合は品質保持のため一定の規格化を図っている。

一箱二キログラム~二・五キログラム。大きさは一番スタンダードなM(二〇〇~三〇〇g)、L(二〇〇~三〇〇g)を中心に二L、三L(四〇〇~五〇〇g)、秤売りのB(一五〇~二〇〇g)がある。

「せっかく育てた大根です。一本でも無駄にしたくありません」

規格外のものをまとめてたくわん漬けにしたり、三杯酢に漬けたりして商品化する。

「ほんのり赤みと素朴な味わいが良いからとなかなかの人気です。この季節を楽しみに問い合わせが結構あるんですよ」と顔をほころばせる。

収穫後、洗ってそのまま出荷する三浦大根と違い、洗った後、翌日、規定のビニール袋に入れる箱詰め作業はなかなかの手間。一〇本一ケースで一日一〇〇ケースを出荷。組合全体では二〇〇〇ケースを出荷している。

「知名度はいま一つ。まだまだ大量生産には至らないが、もっと多くの人にこのさわやかな大根を味わって欲しいですね」と熱っぽく語る。昔ながらの三浦大根を残しながらも、時代のニーズに対応した製品開発に取り組むたくましさにエールを送りたい。

■生産者名=特産・三浦野菜生産販売連合(三浦市農協内)、神奈川県三浦市初声町入江二六〇‐一、Tel0468・88・3151、FAX0468・89・4165

■販売方法=主に京浜市場に共同出荷。その他、一部農家が沿道直売所で販売。宅配可。一本一五〇g見当で約一〇〇円。

■価格=出荷時期は10月末~12月末、一部1月10日ごろまで。市場価格は大差なく、一箱二キログラムで八〇〇~一二〇〇円。

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