注目商品登場=不二家「パワーメニュー」、自然の素材で差別化
(株)不二家(東京都中央区、03・3572・4160)が今春新発売したバランス栄養食品「パワーメニュー」は、一挙にCVSの売場を獲得、最近ではドラッグストアなど新たな売場拡大にも着手しており、年間販売目標二〇億円(小売価格ベース)に向けて順調な滑り出しとなっている。
同製品は、これまでのバランス栄養食品にはなかった、キャラクター(ペコちゃん)を前面に押し出したこと、後発メーカーとして商品内容でも差別化を出すためスイートポテト、パンプキン、バナナと自然の素材を用いたのが最大の特徴。また一箱に一日に必要なカルシウム、一食に必要なビタミン、鉄分、食物繊維を含み、さらに一本(五〇キロカロリー)ずつの個包装(六本入り、一五〇円)とし形態でも差別化を図った。
それらの点が流通各社から支持され、売場を確保、また消費者から認知されて売上げを伸ばしている。さらに「商品を扱いたい」という問い合わせが続々寄せられており、生産体制を整え販路の広がりに対応している状況だ。
同製品がヒットしている背景には(1)ペコちゃんを前面に打ち出したことで商品訴求力が高まり、OLなどから「かわいい」バランス栄養食品として支持されたこと(2)自然の素材を用いたことでヘルシーでナチュラルなイメージが定着したこと(3)三種類の食べ比べができるとあって菓子感覚として、食事替わりとして食用シーンの拡大をしたこと、があげられる。
このため、バランス栄養食品の新商品として定着してきたようで、競合商品のシェアを食うというよりは、新需要の開拓を達成できたといえそうだ。
今のところ女性の購入者が九割、そのうちOLが六割と、やや偏った消費構成となっているが、徐々にスーパー、ドラッグストア、駅売店などに商品の配荷が進んでいるため、今後は子供に与えるおやつとして主婦層に、また中・高校生などにもターゲットの幅を広げていく計画だ。
同社は、これまで洋菓子メーカーとしてのイメージが根強く、また事業の多角化から業績悪化に直面していた。それを打開すべく、昨年から「ペコちゃん、ポコちゃん」を前面に押し出したブランド戦略に打って出たもので、その一環として成長著しいバランス栄養食品市場にペコちゃんキャラクターで「パワーメニュー」を開発、参入することになったわけだ。
秘められた市場性、また菓子業界と比較すると、バランス栄養食品は利幅の厚い市場であることに注目したもので、この戦略は今のところ“大成功”を収めている。さらに相乗効果も現れており、「これまで引き合いのなかった売場にパワーメニューが入ったおかげで、他の商品も取り扱ってもらえるようになった」と全売上げ増加にも貢献している。
今後の課題を「菓子業界は商品サイクルが短く、逆にバランス栄養食品市場はロングセラーのブランドが強い。いかに生き残っていくかだ」(同社岡部桂子商事本部営業企画部菓子企画担当)といい、その体制づくりを早急に進めていくことが、今後の動向を大きく左右していきそうだ。