そのぽっこりおなかが命取り 妻から見た夫のメタボリックシンドローム度
「結婚した頃に比べてずいぶん育ったわね…」。あなた(のご主人)のウエストサイズはいかがですか? 既婚男性の41%はウエストサイズが85cm以上で、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす危険性が高いメタボリックシンドロームの警戒水域にあることが「妻から見る夫のメタボリックシンドローム」調査で分かり、さらに夫の健康の実態と妻の認識の甘さとのギャップも浮き彫りになった。
調査は今年2月、全国の30~60代の既婚女性963人を対象に、夫の(1)おなか周りの数値(腹囲長)と(2)おなかの肉のつまめる程度などについてインターネットで聞いたもの。L‐カルニチンの原料供給企業・ロンザジャパン(株)とインターネット調査会社(株)クロス・マーケティングが共同で実施した。
その結果、全体の41%が腹囲長85cm以上で(グラフ1)、うち3割がおなかの肉をしっかりとつまめない内臓脂肪型肥満の恐れがあった。60代の約4割は内臓脂肪型肥満傾向にあり、30代の2倍。60代を超すにつれ危険度が高まる。
一方、メタボリックシンドロームに対する妻の認知度(認識)は全年代で低く、6割が「聞いたことがない」。「聞いたことはあるが意味は分からない」を含めると9割以上が理解していないことが分かった。また8割が夫の健康を問題なしとしており、危機感が薄い。
肥満については「結婚当初より太った」と答えたのは65%(グラフ2)だが、3割が特別な対策をとっていない。太った原因として75%が挙げたのは「運動不足」。50代以上の世代ほど、運動によって脂肪を落とそうとする傾向がみられた。30・40代の4割近くは「不規則な食生活」を原因に挙げており、世代間でのライフスタイルの違いも現れた。
夫と同世代で理想のプロポーションをもつ有名人として選ばれた第1位は、30代で木村拓哉、40代で郷ひろみ、50・60代で渡哲也。ほか、芸能人以外で60代の4位に小泉首相がランクインした。(別表参照)
◆家族の観察も生活習慣改善の鍵 ロンザジャパン(株)微生物工学受託事業部 王堂哲事業部長
メジャーを使って腹囲を測るだけで内臓脂肪量を推測するという方法は、最新の内科学で実証されている。調査では腹囲長やおなかのつまみ具合という簡単な測定で、内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の違いが浮かび上がり、変化に気づきにくい中年世代での内臓脂肪型肥満対策の重要性が読み取れた。また今回「妻」に「夫」の体形を観察してもらったように、生活習慣の改善には家族の協力も重要だ。
◆メタボリックシンドロームって 東京女子医科大学教授・戸塚ロイヤルクリニック所長・栗原毅氏
おなかに余分な脂肪が貯まる内臓脂肪型の肥満に加え、高脂血症・高血圧・高血糖という危険因子のうち2つ以上が加わると、動脈硬化のリスクが飛躍的に高まる。この状態をメタボリックシンドロームといい、ほうっておくと心筋梗塞や脳梗塞に至る。
内臓脂肪型肥満はなぜいけないか。内臓脂肪の細胞からは、身体の代謝にかかわる重要な物質が分泌されている。善玉物質もあれば悪玉物質もあり、そのバランスの狂いが生活習慣病を引き寄せ、生命にかかわる病気に進む危険性も高いのだ。
◆貯まりやすく燃えやすいのが内臓脂肪
内臓脂肪はおなかに貯まりやすいが、皮下脂肪に比べエネルギーとして燃えやすい=減らしやすい。貯めこんだ内臓脂肪を減らすには、無理のない運動の継続と合理的な摂食コントロールのバランスが重要。脂肪をエネルギーに変えて燃やすための、負担の軽い運動を続け、食事は日常食を基本にしながら加齢とともに体内から減少するL‐カルニチンやCoQ10など、脂肪代謝に重要な栄養素をサプリメントで適切に補うことも効果的だ。
◆おなかの皮膚をつまんでみよう
おへそ周り・脇腹・腰のあたりを順番につまんでみよう。指でたっぷりつまめる脂肪は「皮下脂肪」。
おなかの中身がぱんぱんに詰まり皮膚も伸びきっていると、指で脂肪がつまめない。「内臓脂肪」が貯まっている可能性大。
◆簡単な方法で内臓脂肪型肥満を発見!
メタボリックシンドロームの診断基準(05年日本内科学会)。1に加え、2~4の3項目のうち、2項目以上に当てはまる場合。
1.内臓脂肪蓄積がある おへその高さでおなか周りのサイズを測る
男性…85cm以上 女性…90cm以上
2.高脂血症
中性脂肪値…150mg/dl以上、HDLコレステロール値…40mg/dl未満
これらの一方あるいは両方に当てはまる
3.高血圧
収縮期血圧(上)…130mmHg以上、または拡張期血圧(下)…85mmHg以上
4.高血糖
空腹時血糖値…110mg/dl以上
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メタボリックシンドロームの診断基準の必須条件は「内臓脂肪の蓄積」。警戒域にあると思いあたる人は、より詳しい腹部CTスキャン・血糖値・インスリン量の変動などの検査を受け、きめ細やかな健康指導を受けよう。