野菜のサラサラパワーを効率よく吸収
血液がサラサラスムーズに流れることは健康の基本といわれる。でも「サラサラ」って具体的にはどういうこと? 浅野生活習慣病予防研究所の浅野次義所長に聞いた。
●どうしてサラサラがいい?
「サラサラ」とは、血液中の中性脂肪・コレステロール・糖分などのバランスがほどよい状態。血液成分で一番大きい赤血球も柔軟性があり、素早く変形しながら細い毛細血管を通り抜けられます。スムーズな血流にのって酸素や栄養・ホルモンなどが全身の細胞に運ばれ、老廃物もきちんと回収。血管も「プリプリ」と弾力性がありしなやかです。
一方、「ドロドロ」は血中の中性脂肪・コレステロール・糖分が過剰で粘っこく固まりやすい状態。赤血球も柔軟性に乏しく毛細血管をうまく通れず、酸素や栄養が全身に行き渡らず、老廃物も滞りがち。血管も「デコボコ」に。コレステロールなどが沈着して血液の通路が狭まったり(動脈硬化)、血管壁の傷を修復するため血のかたまり(血栓)ができ、脳・心筋梗塞など死に至る病を招きます。
●ドロドロ血になる原因って?
食生活の乱れ、運動・睡眠・水分の不足、ストレス・喫煙・飲酒・入浴の過多、便秘などが挙げられます。
●どうやって食べればいい?
血液サラサラ食生活6カ条は(1)エネルギーは適正な量をとり過食・肥満を防ぐ(2)毎日決まった時間に3食とる(3)脂肪の多い肉類や揚げ物をとり過ぎない(4)甘いものや主食をとり過ぎない(5)塩分は控えめに(6)サラサラパワーのある野菜や食品をとることです。
サラサラ食材だからといって一度に食べ過ぎはNG。野菜のサラサラ効果は約7時間で消えるため、1日3食食べることが効果持続の秘訣。また、きちんと食べても睡眠不足や喫煙などの習慣をやめないと効果は半減します。
(参考資料=『毎日使える血液サラサラレシピ』(成美堂出版))
◆野菜のサラサラパワーって?
○抗酸化成分…ドロドロ血の主な原因は活性酸素。身体に必要なコレステロールを運ぶLDLが増え過ぎて、活性酸素により酸化されると動脈硬化が促進され血管の老化も早まる。この活性酸素を抑えるのが野菜中の抗酸化成分。各種ポリフェノールや、抗酸化ビタミンといわれるビタミンA・C・Eが代表的。
○食物繊維…便秘だと便からコレステロールが排泄されず、血中コレステロール値が上昇しやすい。野菜に含まれる不溶性食物繊維は便通改善に有効だ。ペクチンなどの水溶性食物繊維は、小腸で溶けてゲル状になり血中の余分な糖質・脂質・コレステロールをからめとり排出する。食後の血中脂質や血糖値上昇も抑える。
○ビタミン・ミネラル…動脈硬化が進んだり血栓ができたりすると、血管が硬く狭くなり血圧が上がりやすくなる。このため血圧を調整するカリウム・カルシウムなどのミネラルやビタミンをとることが大切。野菜には各種ビタミン・ミネラルがバランスよく含まれている。
◆調理のしかたで吸収率UP
トマトのリコピンやにんじんのカロテンは油に溶けやすく熱を加えると吸収がよくなるので油調理がオススメ。逆にビタミンCは水に溶けやすく加熱に弱い。総合的に効率よくサラサラパワーを発揮させるには、いろいろな種類の野菜をさまざまな調理法で食べて。
◆旬はパワー増大 いま旬野菜のサラサラ成分と選び方
出盛り野菜ほど、サラサラパワーも大。鮮度の高いものを選び新鮮なうちに食べよう!
◇たまねぎ:抗酸化成分・アリシンのほか、血栓ができるのを防ぐトリスルフィドや、苦み成分・ケルセチン(強い抗酸化作用をもつポリフェノールで脂肪吸収も抑制)を含む。
【選び方】皮につやがあり、押すと芯が固いもの、芽や根が出ていないものを選んで。
◇かぼちゃ:ビタミンEが豊富で、その抗酸化力を強めるビタミンCも併せ持つ。体内でビタミンAに変わるβカロテンも多い。
【選び方】皮に光沢があり重く種がしっかりつまり、黄色い果肉が厚く色鮮やかなものを。
◇長いも:栄養価に富み、生で食べられる数少ないいも類。梅雨から夏の消化機能が落ちる時も、胃に負担をかけず効率よく栄養がとれる。
【選び方】春は4~9月、秋は12~3月が旬。肌が白く、太いものを選ぼう。
◇アスパラガス:カロテンやビタミンB1・Cをバランスよく含むほか、アミノ酸の一種・アスパラギン酸や、ルチンなどの抗酸化成分も豊富。
【選び方】中太で、切り口が乾燥しておらず、穂先がしっかりつぼんでいるものを選ぶ。