おはしで防ぐ現代病:“野菜のチーズ”納豆の強力なパワーを知る

2003.07.10 95号 14面

“野菜のチーズ”納豆が、いま、世界的に注目されている。大豆の発酵食品である納豆は、古来から心臓と血管の疾病の民間薬、疲労回復、脚気の治療薬として利用されてきた。最近納豆のさまざまな作用が明らかにされているが、ネバネバ部分にある血栓溶解作用を発見した倉敷芸術科学大学の須見洋行教授に聞いた。

◆血栓に対する働き

血栓とは、血液中にできる血の塊で、血管を詰まらせる原因になるもの。血管が詰まると脳梗塞や心筋梗塞など身体にさまざまな障害が起こります。とくに血圧や血液中のコレステロール値、血糖値が高めな人やタバコを吸う人、ストレスの多い人は、血栓ができるリスクが高く、注意が必要です。

◆ナットウキナーゼの特長

納豆中に含まれる酵素には、血栓を溶かしたり、血栓をできにくくする働きがあります。それを確かめるために私たちは、シャーレの中に人工血栓を入れ、さらに納豆を置いて変化を観察しました。すると特に、糸と呼ばれるネバネバ部分に、人工血栓を溶かす強い作用があることを発見。その強力な血栓溶解酵素を「ナットウキナーゼ」と命名しました。

◆効果絶大&リーズナブル

ナットウキナーゼの効果は強力です。一般に心筋梗塞や脳梗塞の治療では、血栓溶解剤として「ウロキナーゼ」が使われますが、納豆一パック(五〇グラム)には約一〇万円分のウロキナーゼに匹敵する効果があるとされています。また効果の持続性においてもウロキナーゼの四~二〇分に対し、ナットウキナーゼは食べた後四~一二時間持続します。

◆まだまだある納豆の作用

血液は夜中から朝にかけて固まりやすいため、ナットウキナーゼは夕方摂取すると効果的と考えられています。

また納豆には、ナットウキナーゼのほか、整腸作用や抗菌作用など数々の効用が見つかっています。骨粗しょう症予防に有効なビタミンK2を豊富に含むことや、O‐157のような病原性大腸菌の増殖抑制作用、また動物実験では抗がん作用も確認されています。

日本人になじみ深い納豆の秘めたるパワーは、まだこれからも解明されていくことでしょう。

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