Going My Own Lifeがんと生きる:京都府・古村滋子さん

2003.06.10 94号 14面

「がんと生きている」のは、患者ばかりではない。がんを抱えながらも充実した暮らしを全うしている人の傍らには、かけがえのない人生の伴走者がいるものだ。家族、そして主治医や薬剤師だ。漢方の健伸堂薬局(京都府)の薬剤師・鍼灸師、古村滋子さんは三四年間、延べ二〇〇人のがんを抱える人たちと人生を過ごしてきた。現在、健伸堂を定期的に訪れるがん患者は二四人。がんとどう立ち向かうか、症例とともに話をうかがった。

古村さんが強調しているのは「がんは一つの慢性病」ということだ。「糖尿病を抱えた人が上手くつきあって生活していくように、がんもこうした疾患の一つとして捉えればいい。共生、共存して人生を楽しく意味あるものにしていけばいいと思うのです」。

どうしたら、そうできるのか。「がんが悪さをしないようにする。悪さをしたら叩いておとなしくしてもらう。また出てきたらまた叩く。それで十分やっていける」という。「がん細胞は多少なりともみんな持っているんですよ。私の身体の中にもあります。それが抑えられているかどうかです」。

がんを抱える人自身がそう考えるためには、気持ちの問題が大きい。「身体をがん細胞が住みにくい環境にしていく。その環境の一つに、楽しいことを考えてクヨクヨしないということがある。プラス思考は絶対必要です」。

もう一つ、「命の終わりは宣告できるものではない」と古村さんは考える。例えばこんなこともあった。「手術をしても一年以内に再発しお亡くなりになります」と、母親の胃がんを宣告された女性がいた。しかし古村さんの指導で胃の気を保ちながら六年、母親はいまも健在だ。今度はその娘さん自身が乳がんになって手術をすることになった。執刀する医師が付き添いの母親の顔を見て「あなた、どうして生きているの!?」と驚いた。

がん細胞が住み難い環境にする素材は時々のブームもあり、新しいものが続々と登場しているが、古村さんがいま確かに手応えを感じているのが、「霊芝胞子製剤」だ。「五臓を活性化し、さらに精神安定作用がある。どうしても不安になりがちなので力になります。化学療法剤を服用するときに併用すると、体力が落ちない。がん細胞は増殖を抑えられ、自ら死滅していく。免疫を活性化する他の健康食品や、体質にあった漢方薬を使うとさらに効果的です」。

疾病はバランスの崩れなので、それが起こりやすい季節や時間がある。例えば心臓や喘息の疾患の発病時間は明け方だが、がん細胞は逆に夜中に増殖する。「だから寝る前には必ず飲んで下さいと指導しています。トイレに起きた時にも必ず。がん細胞が増えていく時間帯に飲むと、がん細胞にとっては『よけいなものが入ってきた。何だ、こいつは』という感じになるはずと考えています」。

(1)抗がん剤に耐えられ、治療をクリア

40代のスキルス性胃がんの女性。父親を含め家族ががんで亡くなったということで「自分もどうせ……」と落ち込んでいき、昨年11月、友人が薬局に連れてきた時は、「能面のような顔」をしていた。明るくなってもらいたいと2時間話をしたが、1度も笑ってくれない。音楽の教師なので、「毎朝顔を洗ったら、きょうも生きている。嬉しいなと笑顔を作り、好きな歌を歌って下さい」と励ましたが、その時点では「歌を忘れたカナリアなんです」というばかり。

2月、入院・手術、そして抗がん剤再開。ひどい副作用があったので、「抗がん剤や放射線を使う時に」と気血を補い体力をつける漢方処方を考え霊芝胞子製剤などを送ったところ、「うまくクリアできた」と病院から携帯メールがあった。化学療法ではどうしても腎の造血機能をやられるので、それを補う組み合わせを考えた。古村さんは保険が適用できる漢方薬はできるだけ病院から出してもらうようにしている。長い期間がんと共に生きるためには、経済的負担を軽くするべきだからだ。また、提案している処方はすべて主治医に知らせている。強い抗がん剤にも耐えられ、主治医に「すごい。これは漢方薬の成果だ」と言われた。それまでは化学療法剤を用いると吐いて中断となったのが、耐えられる。耐えられたという自信が、次の治療に希望をつなぐことになる。

3月に退院。「先日来店した時は、ニコニコの笑顔でした。『みんなに助けられました。職場復帰もしたいですね』と話してくれました」。

(2)3センチのがんが消えかかり、農作業に復帰

昭和6年生まれ、京野菜を作っている農家の男性。昨年の3月、6センチの肺がんが見つかり入院した。他に問題があって手術できず、抗がん剤と放射線療法を施術。しかし放射線療法は動脈が破れてくる可能性が高く中止、3センチ残したまま退院となった。

1カ月後、夫人が来局し相談。「4月からのコバルト治療がうまくいくか」と心配していたのでがん細胞の血管新生を抑制するよう霊芝胞子製剤とサメ軟骨を勧めたところ、順調に経過し8月に退院。「服用を続けてもらって今年の2月、CT検査したら検査技師から『消えてしまっている!』と言われ、喜び勇んで報告に来てくれました」。主治医の見解としては「消えているはずはない」ということでまだ観察が必要だが、良い方向に向かっていることは確かだ。「朝から畑に出てまた野菜作りができるようになった。日焼けした顔が素晴らしい。がんという一つの慢性病とつきあって、人生を前向きに生きている人の好例ですね」。

(3)自分の人生を最後までプロデュース

いかに最後まで人生の台本を自分が書けるかは、大きなテーマだ。

胆のうがんを抱えた70代の新聞記者の男性は医師に「何をやってもいい。お好きなように」と言われ、「見捨てられた」と絶望した。来局し相談、古村さんは「何年生きられるか分からないなら、いままでの好きなことを集大成しましょう。自分史を書いてみてはいかがですか」と提案、胃の気を守る意味で、霊芝胞子製剤と補中益気湯を渡し励ました。

4カ月後に亡くなったが、葬儀の翌日に夫人が来局、「主人は元気をもらった」と報告を受けた。夕方6時と夜の12時、早朝トイレに起きた時にもきちっと漢方薬を飲んで、自分のスケジュールを管理した。おかげで苦痛感もなかった。自分の余命を計算し感謝の念を伝えたいと、その1カ月前にホテルの一室でお別れ会も開催。親戚一同30人の前で「みんな、世話になった。残された日々はあと幾ばくもないだろう。ありがとう」と挨拶することもできた。何より自分の人生を最後までプロデュースできたことを嬉しく思っていたという。

日本で入手できる霊芝胞子製剤 問い合わせ先:日本中医薬研究会 電話03・3273・8891

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