日本人は酵素を無駄遣いしている!消化器系を思えば食物酵素のあるものを

2001.10.10 74号 2面

「現代人、特に日本人の食生活は酵素を大幅に無駄遣いしている。このため身体の各所で必要な酵素が不足して、各種の生活習慣病に結びつく体調の不調を起こしている」‐こう力説するのは、5月号の「だから素敵! あの人のヘルシートーク」に登場したホリスティック栄養学修士のナターシャ・スタルヒン氏。反響の多かったインタビュー続編として、酵素栄養学の基礎知識を学習するとともに、具体的な生活術への応用ポイントを見ていきたい。

◆酵素って、どこにあるの?

「おいしいものを目の前にすると酸っぱい唾液が出てくる。これが酵素でしょ」「果物のジュースなどに入っている甘酸っぱいもの、あれが酵素では」。まず、私たちの何となく理解しているようで混同している、「酵素」とはどこに存在しているのかという問題から教えてもらおう。

「酵素といっても、ひとつのカテゴリーに収まるものではないんです。大別して代謝酵素、消化酵素、食物酵素の三つがある。代謝酵素は基本的に体内で働くもの。消化酵素はその代謝酵素の一種です。ただ消化酵素は食べ物が口から入って小腸で吸収されて血液に入る前、つまり消化器官で働くもの。身体の中に吸収される前という意味で口から肛門までの消化器官というのは本当の意味ではまだ身体の外側なんですね、だから区別します。代謝酵素は身体の中で作られるもので、基本的に外からは補えません。これに対して食物酵素は生の食べ物の中にあるものです」。

◆酵素不足は代謝の低下招く

一口に「酵素」といっても、私たちの身体の中にあるものと、私たちが取る食品の中にあるものがあり、それは全く性質の違うものであることが分かった。それでは、私たちの身体の中にある代謝酵素の働きを考えてみたい。

「私たちの身体の中には、分かっているものだけで三〇〇〇種類以上の代謝酵素があります。そのうち、消化酵素は二六~二七種類。唾液の中にあるアミラーゼ、膵臓で作られるアミラーゼ・リパーゼ、プロテアーゼなどがそうです。ひとつの消化酵素を作るために二〇種類くらいの酵素が必要。だからこれを大量に体内で作るとなると、他のところで使われる酵素を作ったり働かせるため、原材料がどんどん足りなくなってしまう。酵素が不足すれば代謝が落ちていく。そこで体内で消化酵素をたくさん作らないようにするには、食物酵素が多く含まれる食品をたくさん食べる必要があるわけです」。

食品の中に含まれる食物酵素は、その食品そのものを消化する。例えば青いバナナは固くて甘みもないが、しばらく置いておくと酵素が自分自身を分解して柔らかく甘くなり、ベタベタになり、最後はドロドロになる。こうした食べ物を食べれば、私たちの胃の上部にあるうちにその食べ物自体が持つ酵素によって「事前消化」が進む。だから身体は消化に振り向ける酵素の配分を減らし、身体全体を機能させている他の何千の酵素に余裕を持たせることができる。つまり体内の機能が活発化する状況が作られるわけだ。

◆生ものの中に強い味方

ところが現代人は、こうしたありがたい食物酵素が含まれている食品を食べる割合が本当に少ないのだという。それはなぜか。「答えは簡単です。生ものを食べないで、調理したり、加工したりしたものばかり食べているから。食物酵素は摂氏四八度で壊されてしまうのです」。

神様が食べ物の中に作ってくれた酵素。これをわざわざ壊して食事をしているために、消化に負担がかかり、未消化物によって血液は汚れ、代謝に必要な栄養素は不足し、あらゆる深刻な問題が発生しているわけだ。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら