牛乳由来の新機能成分「MBP」とは

2001.03.10 67号 6面

骨粗鬆症の発症者数は、この五〇年の間に約三倍に増加している。骨粗鬆症は極端に骨量が減り骨がスカスカになるやっかいな病気だ。この”スカスカ骨“を予防し健康な”ギュッと骨“にする牛乳の新機能成分「MBP」(※注)を雪印乳業(株)(東京都新宿区、03・3226・2124)が発見した。この新しい成分「MBP」とは何か、どのように活用できるか、わかりやすく紹介したい。一〇〇歳まで現役で人生を送るために、新しい骨の健康を考えてみよう。

◆折れた骨が元通りになる訳は?

骨はカルシウムだけで作られているわけではない。簡単にいえば、カルシウムとタンパク質の一種コラーゲンからできている。ちょうど鉄筋コンクリートのような構造。カルシウムが”セメント“でコラーゲンが”鉄筋“というイメージだ。(図1)

骨は内部に細かい血管が縦横無尽に張り巡らされ、骨の細胞が生き生きと活動している。折れた骨が元通りになるのも、骨の細胞が新しい骨を作ってくれるおかげだ。毎日少しずつ変化を繰り返し、約三年で新しい骨に生まれ変わる。「骨は生きている」のだ。

◆骨が生まれ変わる仕組み

この生まれ変わりにかかわる細胞には、骨を作る「骨芽細胞」と骨を壊す「破骨細胞」がある。(図2)「骨芽細胞」は骨の”鉄筋“にあたるコラーゲンを作り、そこにカルシウムを付着させる”のり“となるタンパク質を塗っていく。ここに血液中から運ばれたカルシウムが自然に付着していき、新しい骨ができる。

一方、「破骨細胞」は古い骨を作っていたカルシウムやコラーゲンを酸や酵素で溶かす。この「破骨細胞」はホルモンなどのバランスが崩れると、時々必要以上のカルシウムを溶かしてしまう。特に閉経以降の女性の場合には顕著に現れる。つまり、骨粗鬆症の原因は、カルシウム不足と破骨細胞の「暴走」がかかわっているのだ。この暴走を抑えるのが「MBP」だ。

◆MBPは”ギュッと骨“づくりを応援

昔から、牛乳は骨を丈夫にするといわれている。それは牛乳に豊富に含まれるカルシウムのおかげと思われてきた。

しかし、雪印乳業では、「牛乳が骨の健康に優れているのは良質のカルシウムが多いだけではない」という仮説を掲げ、牛乳に含まれている新しい力、いわばミルクの神秘を追い求める研究を長年続けた。そしてついに、カルシウムのほかに、骨を強くする成分「MBP」を発見した。

最大の特徴は、骨を作る「骨芽細胞」を増やし、骨を壊す「破骨細胞」の過剰な働きを抑制する点にある。いくらカルシウムをしっかりとっても、肝心の骨を作る力が弱っていては、カルシウムは骨につかない。「MBP」は、骨の細胞に直接働きかけることで、骨そのものを元気にし、カルシウムがつきやすくする。同時に、カルシウムが溶け出すのを防いでくれる画期的なタンパク質なのだ。骨を健康にコントロールする力を応援し、骨密度の高い”ギュッと詰まった“健康な骨ができるわけだ。(図3、4)

◆継続は”ほね“なり

骨を丈夫にするためには、もちろんカルシウムの摂取や適度な運動も大切だ。さらに、「MBP」を上手に利用することで骨自体を元気にし、ワンランク上の新しい骨づくりができる。

「MBP」を毎日飲んだ試験では、三カ月間で骨代謝の改善が確認され、六カ月で骨密度の上昇が確認されている。最低六カ月、できれば毎日継続して飲むことが望まれる。

●「MBP」とは…

乳塩基性タンパク質、すなわちミルク・ベーシック・プロテイン(Milk Basic Protein)の頭文字をとったもので、牛乳や母乳に極微量に含まれる天然の生理活性タンパク質の集まり。骨形成を促進して骨を丈夫にしたり、骨破壊を抑制して骨密度の低下を抑える。雪印乳業(株)が独自に発見した機能成分で、国内外で特許を取得している。

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