デパート地下街の変格活用法 パンブームも実はデパチカから
最近、雑誌やテレビでおいしいパン屋の特集を目にすることが多くなった。海外旅行者が増えて、いろいろなパンの味を覚えたせいもあるのだろうが、それにしてもフランスパン、ドイツパン、普ながらの菓子パンから米国のバーグルまで、この幅広い味を飲み込んでしまうのが日本人のすごいところだ。このパンブームにはデパチカも一役買っている。
どこのデパチカでも、たいがい行列のできるパン専門店がある。最初はパリに本店を置く店のバゲットや食パンに、いわゆる本場の味を求めて行列が始まった。時間を決めて焼きたてを提供する試みも新しかった。しかしパンブームが現在まで長続きしているのは、どの店も伝統の味だけに頼らず次々と新しい味を作り出していった姿勢にある。その努力と戦略に頭が下がる。
古くは豆パン、ミニクロワッサンからデニッシュ食パンまで、和洋折衷で食事パンあり、おやつ用あり。こうして記事を書いているそばから、新種が生み出されているに違いない。本場の味に関しては、いまや週に一度パリから空輸して提供する店まで現れた。味覚は人それぞれだが、こんなに楽しく種々雑多なパンを味わえるなら、少し面倒でも行列に加わる価値もある。
さて行列といえはもう一つ、はずせないのが洋菓子売場だ。こちらもブームをつくる手腕では負けていない。最近では三~四人で分けてちょうど良い大きさのタルトやミルフィーユなどを限定販売している。しかも、おいしいけれど単価の高い店が旬のフルーツをたくさん使って千円以下で提供するのだ。これはもう並ぶしかない。気のおけない友だちとのお茶会に最適。
洋菓子売場は専門店はもちろん、ホテル系列あり、レストラン系列ありでしのぎを削っているのが二日で分かる。それに比べると和菓子売場は老舗がでんと構えて落ち着いたものである。悪くいえば活気がない。どうしてもお使いものの印象が強い。実際箱詰めが並ぶショーケースが圧倒的に多い。
桜餅、柏餅、水ようかん、おはぎ。和菓子にはその季節になくてはならないものがある。練りきりだって色も形も自然と結びついていて美しい。おまけに低カロリー。良いことづくめなのだから、日もちのする箱菓子より、もう少し生菓子に力を入れて欲しい。プラスチックや缶入りの水ようかんは確かに便利だけれど、できれほ瑞々しい緑の葉に包まれたものや本物の竹筒を使っている店を選んで、しっかり季節を味わいたい。洋菓子売場に負けない工夫を凝らした和菓子売場を持つデパチカの出現を心待ちにしている。













