変わり種そば・うどん店紹介 「北海きそば」そばで聞くC&W

1994.12.19 66号 13面

「北海きそば」(東京都新宿区、03・3361・2704)は、西新宿に店を構えてすでに三〇年。この店の評判は、遠く関西にまで聞こえている。それは、単なる「そば・うどん店」としてではなく、カントリー&ウエスタン(C&W)のライブスポット「北海きそば」ということで知られているのである。

高橋大店長は、父の隆一さんから今年9月に店を引き継いだ。

「父は、戦後のウエスタン、ロカビリーが盛んなころ、大野義夫さん(C&Wシンガー)のマネジャーをしていました」

その関係もあって開店当初は、マネジャー時代の知人、芸能人たちがなじみ客となっていった。

純日本的な「食品」そば・うどんと、まさしくアメリカ開拓の「魂」ともいうべきC&Wの同居とは、確かに“珍にして妙なり”というところだ。

「正直に言って、9月に店を継いだ時は、いわゆる普通のそば・うどん店へのシフトも考えた」と高橋店長。だが、固定ファンの支持はかたい。

「ぜひ今までのように続けてくれ、と言われて考え直しました」

創意と工夫によるメニューの見直し、改定を行ったのである。

二〇〇種類以上あったメニューを、半分近くまでに整理し、新たに若い世代に人気のカレーを使った麺メニュー二三種を加えた。また、新都心となった西新宿という土地柄を考え、近辺に勤めるサラリーマン、OL向けに五〇〇円から一〇〇〇円までの定食メニューをラインアップして、昼食向けの体制を整えた。

もちろん、従来からの好評メニューは、継続している。「北海きそば」(八〇〇円)、「北海とろろそば」(八〇〇円)、「北海きのこそば」(九五〇円)、「北海サケそば」(一〇〇〇円)などは、常に売上げ上位を占める定番メニューだ。新しく始めたカレー風味のものでは、「北海とろろカレー」(一〇〇〇円)、「北海ひじきカレー」(一〇〇〇円)、「北海とりカレー」(一〇〇〇円)に人気がある。

毎月最終日曜日には、C&Wのライブパフォーマンスを行っているが、カントリーミュージックの人気も、若い世代を中心に徐々に高まっているので、注目される。

店内には、C&Wの大御所ビル・モンローやウイリー・ネルソンの写真と並んで、訪れた芸能人たちの色紙が所狭しと掛けられており、この店の交友関係の広さを物語る。

新規顧客獲得のための昼食メニューを揃え、固定客、常連を離さないスタイルは、この店ならではの強味である。

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