飲食店の数学講座(最終回)数字で問題点を把握 マネジメントで数値を動かせ<9>

2017.09.04 463号 20面

 ◇お客さまやお取引先、金融機関から評価される、理想の飲食店の経営数値

 当連載も今回が最後である。そこで・お客さまから支持され、取引先や金融機関からも評価される、理想の飲食店・の経営数値を述べて終章としたい。

 ●理想の経営数値

 (A)売上高、および営業利益の伸び率が10%以上である

 (B)自己資本比率が40%以上である

 (C)総資本回転率が2回転以上である

 (D)売上高純利益率が8%以上である

 (E)固定長期適合率が80%以下である

 (F)経営安定率が20%以上である

   *   *   *

 (A)売上高の伸び率は、昨年実績に比べて10%の伸び率が理想である。季節変動があるので月々よりも年間でとらえた数値で見る。営業利益率とは、売上げから変動費と固定費を引いた残りの利益だ。前者はお客さまの支持の度合いで、後者は営業努力(いかに経費を削減できたか)の結果である。付け加えるならば「来店客数の増加」も重要な指標である。

 (B)自己資本比率が40%以上は、総資本{自己資本+他人資本(借金)}に占める自己資本の割合をいう。低金利の時代だから、安い金利の資金を借りた方が得という意見を聞く。しかし他人資本はしょせん借金だ。いつかは返さなければならない。キャッシュの中に前回述べた「回転差資金」も加わるが、これは自己資金ではなく「債務」にすぎない。短期運転資金に活用しても決して新店の設備投資などに使ってはならない。

 (C)総資本回転率は、新店の設備投資を例に考えると分かりやすいだろう。出店にどのくらい金がかかるか? その総資金の2倍以上売れるのか? 回転率とは「何倍売れるか?」という意味だ。当然、投資した総資金の2倍以上(2回転以上)売れる自信がないなら新規出店は再検討すべしである。

 (D)税引き前の純利益だが、8%は仮定の計算でよい。所得税を節税するために設備や備品の買い置きなどに決算前に消費するからだ。顧問税理士と節税前の「仮の純利益」を計算し、売上高に対し8%以上ならかなり優秀な経営状態だと自信をもってよい。

 (E)固定長期適合率はすでに当連載でも述べたが80%以下でなければならない。式は[固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+長期借入金)]で、設備投資に対する借金の割合を示す。例えば新店への無理な設備投資(それも短期借入金でまかなおうとする無謀な投資)に赤信号を灯す数値だ。

 (F)経営安定率だが、損益分岐点売上高から20%以上売っているかどうかを見る数値だ。店長教育で、「自店の損益分岐点売上高」をしっかり計算できるように教育してほしいものである。

 以上、理想の飲食店経営数値を述べた。何しろ数値に強い経営者は少ない。ぜひ数値に強い経営力で、激戦を勝ち抜いてもらいたいと祈念している。

 (ドクター・マヒマテック)

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