独自スマホ決済、多難なスタート セブンイレブン、アプリ戦略に影響

ニュース 小売 2019.07.10 11906号 04面
セキュリティーの再構築に迫られたセブンペイ

セキュリティーの再構築に迫られたセブンペイ

チェーンストアによる独自スマホ決済の先駆けとして、7月1日に「セブンペイ」と「ファミペイ」がスタートしたが、多難な幕開けとなった。セブンペイは不正アクセスによる乗っ取り事件が発生、4日には約900人・5500万円と推計される被害を公表し、新規チャージや会員登録を中止する事態となった。

ファミペイは、セブンペイのセキュリティ問題がクローズアップされる中、二段階認証を採用した仕組みが評価される結果になった。ただ、サービス開始直後からアプリの会員登録のためにアクセスが集中し、初日は登録がままならない状況が続いた。

両社のスタートが7月1日に揃ったことには理由がある。10月の消費増税に合わせてキャッシュレス決済のポイント還元策が導入される。フランチャイズ加盟店は還元支援の対象となるので、これに先駆けて独自決済を浸透させる期間を設けることは重要だった。

ポイント還元策への対応という点では、独自決済を有していなかったファミリーマートはともかく、すでに「ナナコ」の基盤を持つセブンーイレブン・ジャパンが新たなコード決済を導入するのはなぜかという疑問もあるかもしれない。

非接触式のICチップを技術基盤とする「ナナコ」は、クーポン配信などの販促ツールとしても情報伝達手段としても、スマホ中心の生活スタイルが発展していく今後に向けて課題があった。

自社アプリに情報・販促・決済機能を集約し、利用者との関係を強固にするという方向性は、コンビニエンスストアに限らず多くのチェーンストアが追求している。

セブンーイレブン・ジャパンが自社アプリに決済機能を取り込むのは必然の施策だった。ただ、顧客との関係づくりのための自社アプリだけに、その中核機能である決済システムでのつまずきは、アプリ戦略全体に影響を及ぼす。(宮川耕平)

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