厨房のウラ側チェック(78)PL法と飲食店(その11)
今回からPL法取組の五基本の中にあるPLDへの取組について述べます。
PLDのDは、Defense(防御)のことで、飲食店にとってのPL法防御はいかにあるべきかです。PLDのポイントは、(1)お客様の苦情対応(2)法務スタッフの充実(3)PL保険の加入の三本柱です。また、小さな飲食店においても(1)と(3)の対処をする必要性が生じます。
まず、お客様の苦情は、一般的には料理やサービスに対する不平、不満、要求および要望ですから、迅速に対応すればPL問題まで発展しません。そこで、そのためには苦情処理担当者と専用の電話を用意し、速やかにお客様へ会社の回答をフィードバックすることができる組織にすることです。この問題は、PL対応における最重点です。なお、大きな会社においては、お客様苦情処理係を発展させ、飲食店における提供物の欠陥にかかわる問題をマニュアル化し、その対処について関係部署と相談し解決できるフローを作ることです。
そして、この苦情処理を広範な権限で対応できる品質保障委員会を設置することにあります。品質保障委員会の役割は、大きく三つです。一つは、PLPとしての衛生教育、店舗衛生管理の査察、腸内細菌検査と定期的な健康診断、そして食材の仕入れ管理です。
二つ目はPLDとしての苦情処理の誠意ある迅速処理、法務スタッフの充実とPL保険の加入、飲食店のPST(Product Safety Technology)です。保険にはテナント総合保険というものがあり、設備、什器、商品などの損害と費用の補償、賠償責任損害の補償、休業損失の補償などが含まれます。この補償の中で、賠償責任損害に、生産物に起因する賠償責任も対象になっています。いわゆるPL問題です。
三つ目は、PLPとPLDに違反した者に対する就業規則およびFCなどの加入契約の罰則条文を根本とした処罰の実行です。
PLDのポイントである法務スタッフの充実は、会社側として真正面からPL問題に取り組む姿勢が必要なため、いやがらせ、おどしなどを含む民暴の問題などにも対応しなければならないためです。また、PL法の六つの条文からも理解できるように訴訟やそれに類似する問題も多くなるでしょう。そのため、法務スタッフは必要不可欠の人材となるはずです。
食品衛生コンサルタント
藤 洋