スパイス特集
スパイス特集:業務・加工用=コショウ価格上昇を懸念 新たな製品開発に活路
スパイスの業務・加工用は業務用を主体とするメーカーは新型コロナウイルス拡大による外食産業の低迷の影響を受け、苦戦している。一方で加工用は最終製品が家庭用である場合が多く、一定規模の売上げは確保できている。多くのスパイスメーカーは業務用と加工用の両方を扱っているため、全体とすると大きく数字は落ち込んでいないといえる。
原料関係では唐辛子など一部スパイス原料の高騰があり、その対応を求められてきた。加えて今年に入り主力製品となるコショウの原料価格が上昇に転じた。これまでコショウは15年以降下落を続け、安値を形成してきた。このためメーカーからの販売価格も下落傾向にあった。現在、高値傾向となったことで各メーカーは価格改定に向けた動きを進めようとしているが、コロナ禍の状況では相対での面談は厳しく改定は進んでいない。コショウは植物としての成長に数年かかるため、過去も数年単位で上下動を繰り返してきた。今後のコショウ価格は数年にわたり上昇基調で推移すると思われる。いずれは価格改定を避けられない状況となるだろう。
製品関連では新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要増で、各メーカーは製品戦略の見直しを迫られている。新型コロナウイルスの流行以前は、外食産業での人手不足解消の点などから単一メニューが手軽にできるメニュー専用調味料が伸長していた。シーズニングスパイスも手軽に一つのメニューができる完結型の製品が市場をにぎわせていた。
しかし、外出自粛による外食産業の低迷から求められる製品が変化してきている。現在はヤスマが発売したシーズニングスパイスの「カスタムメイドスパイス」のように、香りや辛みに特化し、それぞれを調合することで複数のメニューができるタイプが求められる。外食店のテークアウトへの進出などで、メニューは多様性を求められる。少ないスパイスで複数のメニューを実現するためには、メニュー調味料より香りや辛みなどの特性を有した製品が今後、求められると思われる。
業務・加工用メーカーは大なり小なり新型コロナウイルス拡大の影響を受けている。この状況がどれほど続くかは不透明だが、スパイスはその多彩な香りや辛み、さまざまな料理に使用できることやその効能などから長期的には業務用市場、加工用市場ともに成長が見込まれる。