FCビジネス点検 ステーキのくいしんぼ(㈱サン・チャレンジ)

1996.04.01 98号 15面

10年間値上げせず

ステーキ、ハンバーグ(牛肉)のニーズは強いのに、値段が高くて気軽に食することができない。これを安く提供できないかと思い立って、東京は四谷三丁目の交差点近くのビルの地下一階に出店したのが、昭和55年9月のことだった。

それから七年後、昭和62年2月にFC第一号店を下北沢(東京・世田谷)に出店し、フランチャイズビジネスのスタートを切った。

四谷出店から一六年。今年2月末現在の出店数は直営四店、FC五〇店の計五四店。

年三店ほどの出店ペースということになるが、これは他の飲食チェーンに比べはるかにスローテンポだ。

もっとも、ハイテンポ、大量出店しているからといって、質的にFCビジネスが成功しているとは限らない。要は着実な出店と、加盟店の収益が確保できているかどうかだ。

「現在FCは五〇店舗。出店は地味かも知れませんが、FC展開以来、つぶれた店は一つもありません。近い将来には全国に三〇〇店舗は出店したいと考えておりますが、これも何年までに達成するというように、とくに目標は設定しておりません」(サン・チャレンジ佐藤康行代表取締役社長)

FC展開はスローテンポだが、しかし、ステーキのくいしんぼの“価格破壊”のチェーンビジネスは広く消費者に支持されている。

「一〇〇〇円ステーキライス付き、お替わり自由」。これは消費拡大、バブル時代から導入している価格政策だが、すでに一一年が経過、この間に一度の値上げも実施していない。

世界でも類例なし

それどころか、「立喰いステーキ」V1(ヴイワン)の新業態に象徴されるように、さらに低価格志向でのステーキ商品を提供している。

立喰いステーキとはいかにも日本的な業態だが、もちろん世界でも初めて登場する新業態だ。この業態は回転率の向上とセルフサービスの導入で、生産性と営業効率を高め、これによって価格の引き下げに大きく成功しているのだ。

直営一号店は平成6年1月、東京・内神田のビジネス街に出店した。店舗面積一六坪、二二人収容。U字型のカウンターにガスコンロ。客は自分で肉を焼いて食べるシステムだ。

一〇〇gのステーキがライス付きで五八〇円、大盛七六〇円、ネギサーロインステーキライス付き八八〇円、スキヤキライス・玉子付き八八〇円、ステーキ丼五八〇円、大盛七三〇円、ビーフシチューライス付き六一〇円、ハンバーグシチューライス付き五六〇円。

テークアウト商品も提供している。ステーキ丼五八〇円、ハンバーグ弁当六〇〇円、スキヤキ弁当八九〇円など。

一日の来客数六〇〇人、客単価七〇〇円。日商四二万円、坪当たり二万六〇〇〇円を売るという計算になる。

ヴイワン二号店目はFC出店で平成6年8月、新橋に具体化した。店の規模はほぼ神田店と同じで、サラリーマン、学生などの利用で連日の盛況ぶりをみせている。

小回りの効く出店で高収益の業態。本体の「くいしんぼ」とともにFC展開を積極化していく方針だ。

(しま・こうたつ)

「V1」新橋店店内。カウンターに22台のガスコンロを配置してあり、客はセルフサービスで肉を焼く。正午から午後2時ごろまでは常にサラリーマンで満席になる。日商20万円が目標だが、現在17万~18万円。夜の客単価向上で目標をクリアしたいと考えている(杉山節雄店長)

立喰いステーキ「V1」(ヴイワン)FC1号(新橋)店。店舗面積15坪、22人収容。テークアウトもおこなっており、ステーキ丼(580円)などランチ時に1日60食以上出る

◆「ステーキのくいしんぼ」FC加盟条件

・加盟金/二五〇万円

・保証金/五〇万円

・ロイヤルティー/売上高の三%

・契約期間/五年

◆加盟の資格

・サン・チャレンジ企業理念への共鳴(お客様の満足、喜び、感動が、私たちの満足、喜び、感動に転化できる人)

・パートナーシップとチャレンジ精神(「すべての行動はお客様のために」をモットーに、単にビジネスとしての関係でなく、成功と繁栄のためにともに手をつないで、チャレンジしていける人物)

・企業名/(株)サン・チャレンジ

・ストアブランド/「ステーキのくいしんぼ」

・設立/昭和55年8月

・所在地/東京都新宿区四谷三丁目五‐八(明和ビル二F)

・電話/03・3358・7423

・代表取締役社長/佐藤康行

・店舗数/直営四店、FC五〇店(九六年2月末現在)

・売上高/年商約四五億円(推計)

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