特集 これが中華・ラーメンの繁盛店 「桂林」粗利高い宴会料理導入

1996.06.03 102号 12面

「桂林」(板橋区徳丸、Tel03・3933・4810)。この店も二代目経営だ。ビルの一、二階。延べ店舗面積三〇坪、客席数は一階テーブル席のみ一六席、二階座敷席二二席の計三八席。店は小ぢんまりとして、家庭的な雰囲気だ。

田上考広さん(29)。二代目の若い店主だ。八年前に父親が亡くなったので、料理の修業から戻って店を継いだ。

大手レストランチェーンの東天紅(本社=東京)で三年間修業した。最後の一年間は店を継ぐ関係もあったので、二年を一年に縮めるほどに勉強した。

「東天紅でも実力一、二位というチーフの武井隆夫さんが事情を分かってくれて真剣に教えてくれました。料理の世界は普通やさしく教えてくれる人は少ないんですが、この人は思いやりのある人でした。材料のムダはしない、大根のシッポでもすべて生かす。調理のスピード、勢いなどいろいろと教えていただきました。人生の出会いです」(田上考広さん)

外で修業をしていたので父親から直接教えてもらうことはなかったが、母親との相談で店を改装し、屋号も改めて再出発した。七年前のことだ。

父の味になれた客が店から離れていったので、思いきって自分を全面に打ち出そうと決意したのだ。

料理は東天紅で学んだ広東料理が基本。店の特色を出していくために、一切でき合いのものは使わない。たれさえも自前で作る。材料はよく吟味し、質のいいものを使う。

とくに野菜類は鮮度が要求されるので、高くても地元の八百屋から買う。

メニューは麺類から豚肉、牛肉、鶏肉、海鮮、野菜、点心料理まで一〇〇品目くらい。個性の主張、メニューが多いのは承知の上だ。

人気メニューは豚三枚肉のやわらか煮小七〇〇円、大一三〇〇円、豚肉キャベツの味噌炒め八五〇円、豚肉チンゲン菜の炒め九五〇円、五目焼そばやわらか七五〇円、ゴマ風味辛味そば(特製たれ)七八〇円といったところ。

ラーメンのスープはトリガラとトンコツの割合が五対五。

朝10時から仕込んで、昼間にほぼ使い切る。夜の分は水をたしガラを取り替えて新たに作り直す。

お値打ち感で

三年間値上げなし。三年前から粗利がとれる宴会料理も加えた。宴会客は口が肥えているので食材の質は落とせない。これは特別に仕入れる。

しかし、都心と異なって高単価では売れない。都心で七〇〇〇~八〇〇〇円クラスの料理でも、アルコール込みで四〇〇〇~五〇〇〇円。五割以上のダウンだ。

だからこの意気込みが客にインパクトを与えるということだ。宴会、会食は七、八割がなじみ客。結果は出ている。

客単価昼一五〇〇円、夜五〇〇〇円。売上げは宴会シーズンの12月は月商四〇〇~五〇〇万円の高水準をいくが、通常ベースでは月商三〇〇万円。プロの料理人一人、よく善戦しているという数字だ。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: ラーメン店 東天紅