規格外野菜がぬか漬けに
今年もぬか漬けのシーズン入りを迎えた。ぬか漬けの素となるいりぬかやぬか床は、コロナ禍での健康志向や巣ごもり需要で20~21年は好調を維持。今年も好調の流れをくんで、売場では積極的に漬物商材を展開する動きが見られる。販売業態もスーパーだけでなく、コンビニエンスストア(CVS)やドラッグストア(DgS)、こだわりの専門チェーンといった幅広い業態から、人気のぬか床商品を置きたいとの要望が増えているという。
CVSでは野菜を展開する店舗も多く、関連商材としていりぬか・ぬか床が売れる要素はある。DgSは売場の3分の1を食品が占めるようになり、青果物のウエートも高い。ただ、業態によっては流行のぬか床を置きたいがスペースが取れないといった問題もある。最近ではトライアルに最適な少量タイプのぬか床が登場。先方の業態によって案内しやすい少量タイプの商品は、バイヤーからの評価も高いという。
余った野菜や切れ端を漬けることで食品ロスを削減できるぬか漬けは、SDGsな食品の元祖ともいえる。昔は八百屋の店先に大きなぬか床が置いてあって、おいしく漬かったぬか漬けを目当てにする客も多かった。八百屋とすれば、残りものの野菜を販売できるメリットもあった。
現代ではその光景をスーパーに置きかえることができる。本来値下げや処分していた野菜を、インストアでぬか漬けにしてから販売している店舗も多い。あるぬか床メーカーは、規格外(B級品)のキュウリをぬか床を使ってぬか漬けにし、付加価値を付けて販売する提案を試みている。「スーパーの青果物バイヤーは、農家から仕入れるのにA級品しか仕入れない。スーパー側にとってはB級品のキュウリを仕入れることで仕入価格が抑えられ、廃棄されるはずだったキュウリをぬか漬けにすることで食品ロス削減にもつながる」(メーカー)と説明する。
スーパーの青果売場では、季節に合わせてドレッシングや鍋つゆが関連商品として売られているが、「本来ぬか床は青果売場につきもの。そういった意味でも、青果バイヤーがぬか床に対して正しい見方ができる提案をしていきたい」(メーカー)と話す。=関連記事「いりぬか・ぬか漬けの素特集」(三井伶子)
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