食酢市場、清涼飲料化が定着 ケーキ用など進化
家庭用の食酢市場は飲料、飲用生酢のドリンクカテゴリーが既存の調理用を超え、清涼飲料として定着しつつある。特に食酢飲料が5年前から倍増してけん引。販売競争も進んで昨年は消費の高止まりも見られた。喚起策にはトップメーカーのMizkanの健康訴求のほか、従来なかったケーキ用ドリンクも登場。飲用価値を高め、料理用途の再評価にもつなげる。
食酢は酢酸による疲労回復や脂肪減といった健康効果のほか、アミノ酸や抗酸化による美容効果で知られ、飲用が浸透。20年ほど前の高栄養の黒酢から始まり、近年はCJフーズジャパンの「美酢」がヒットした。発酵果実酢ならではの飲みやすさ、おいしさで支持されて一気に全国化した。
食酢の飲料市場は17年比倍の250億円規模で推移し、飲用55億円を加えると調味酢155億円、料理用生酢100億円を超えた。昨年は飲料大手のアサヒ飲料、伊藤園も参入して、ジュース感覚の健康飲料という地位を築きつつある。
数少ない成長市場だけに価格競争による売価ダウン、改廃ありきの開発競争も進行。金額ベースでの反転減が見え始めた。原材料高などのコストアップによる値上げ、希釈・在宅中心で外出増の影響もあって22年は踊り場。CJは今春、オフィスや朝食向きのストレート、ゼリーを拡充し、Mizkanはドリンク全品で機能性表示を強めて刷新した。
Mizkanはさらに脂肪減、高血圧の降下といった実証効果を「酢の力」と長く啓発する。昨年から個人ごとの体験、習慣化を促す「みんなのお酢活」をはじめ、低い機能認知度を向上。市場を底上げしている。
ケーキと好相性の飲用酢は、千葉県の私市醸造で開発され、地元の人気パティスリーと共同開発。ECなどの直販を目指す。賞味期限は原料へのこだわりゆえの冷蔵4ヵ月。SNSなどで話題を呼びそうだ。ほか調理用は国内外の寿司店で人気の赤酢を、家庭用で提案するのがタマノイ酢、横井醸造などでみられる。味わいを増す付加価値として浸透するか注目される。=関連記事「食酢・食酢ドリンク特集」(吉岡勇樹)
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