メニュートレンド:チャーハンに自分が食べたい物をのせてみた
「チャーハンがうまい店は他のメニューもうまい」と言われるせいか、中華料理店は威信をかけてチャーハンの味を競う。そうはいっても、シンプルなメニューだけに差別化を図るのは難しい。それを一気に、ここでしか食べられないぶっ飛んだメニューにしたのが「中華 東東」の「ドデカ ハンバーグチャーハン」だ。
●きっかけは「何が出るかわからんチャーハン」
池田穂乃花店長は現在、大学3年生。2020年9月、創業者の祖父が他界。母親が一時的に2代目店主となったが、コロナ禍真っただ中で店の経営は厳しかった。
「祖父は入院中も常にお店のことを気にかけていました。当時、私は高校3年生でしたが、推薦で大学進学が決まっていたので時間はある。祖父が愛したお店をなくしてはいけない、なんとか存続させなくてはと思い、3代目を継ぐことを決意しました」と、中華料理店の店長と女子大生の両立生活が始まった。
強力な助っ人になってくれたのが幼なじみで、幼い頃から店に出入りして、祖父の料理をよく食べていた許維娟さん。同じく女子大生だ。この2人が店を盛り上げるために企画したのが「東東の日」。店名にちなんで、東→トン→とう→10で10月7、8、9、10日の4日間を「東東の日」として限定メニューを提供する。
メニュー名は「何が出るかわからんチャーハン」。チャーハンを注文すると、トッピングがのったチャーハンがボウルで目隠しされて運ばれてくる。開けたときに、トッピングを見て盛り上がるという趣向。値段は同じでも、のっている物はいろいろでアタリ、ハズレがある。
まるで大学祭の出店イベントのノリで、さすが、現役女子大生の発想だ。
「わらじサイズのハンバーグがのっている大当たりのチャーハンの評判がよかったのでメニュー化しました」。その後も「自分たちが食べたい物」をのせたチャーハンを発案し、ステーキやエビフライなど高評価の物をメニュー化。
「大事にしているのはお客さまに喜んでいただくことと、祖父の味。祖父のチャーハンの味を邪魔しないトッピングを選んでいます」と、“おじいちゃん愛”が詰まったメニューが人気を集めている。
●店舗情報
「中華 東東(トントン)」
所在地=千葉県松戸市紙敷1-14-4/開業=1980年/坪数・席数=約50坪・23席/営業時間=10時~21時15分。月曜休/平均客単価=1000円/1日平均集客数=100~150人
●愛用食材・資材
「伯方の塩」 伯方塩業(愛媛県松山市)
均一の味付けができる
にがりをほどよく残した粗塩を焼くことでサラッと使いやすくした塩。「チャーハンの具の卵に混ぜたとき、焼き塩なので固まらず一粒一粒を混ぜることができます。塩味が偏らず、溶き卵を均一に味付けできるところが気に入っています」と、初代店長の右腕を約20年間務めた厨房担当の岩山さん。