2023年12月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2024.03.04 541号 05面

 ●忘年会など寄与で25ヵ月連続前年比増収

 日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2023年12月度売上げは、前年同月比111%となり25ヵ月連続の増加を記録。年末の忘年会、クリスマスシーズンもあり、客数は前年同月比105.3%、客単価も105.4%といずれも好調だった。

 23年12月は忘年会とクリスマスシーズンが重なったことから、ディナー業態(グローバルダイニング117.3%、木曽路115.7%、梅の花113.1%、ひらまつ112.8%)と、居酒屋業態(甘太郎164.4%、チムニー133.2%、ヴィアHD123.1%、大庄122.9%、ヨシックス122.8%、天狗120.9%)の好調さが目立った。

 ●倒産、閉店の増加続く

 23年12月は宴会、クリスマスシーズンで好調だった外食業界だが、その裏では倒産、閉店が増加し続けている。

 信用調査最大手の帝国データバンクのリポートによると、23年の「飲食店」倒産は768件となり、過去10年で最も少なかった22年の452件から1.7倍に急増。これは、新型コロナの感染拡大が始まった20年の780件に次ぐ過去2番目に多い水準である。

 20年との比較でみると、20年は緊急事態宣言により休業や時短営業など経営環境が大幅に悪化し、事業継続を断念した飲食店が多く発生したことは記憶に新しい。

 一方、23年はいまだコロナ影響が残る中、採用難による「人手不足」「労務費の急増」に加え、食材価格や電気・ガス代などが円安影響もあり高騰する「原材料コスト高」の強烈な影響を受けた倒産、閉店が相次いだ。

 また、飲食店の業態別では、23年の飲食店倒産で最も多いのは「居酒屋」で204件となり、20年の189件を上回って年間最多を更新した。コロナ期間中に定着した「家飲み」から居酒屋に客足が戻らなかったことに加え、個人店の経営を支えてきた時短協力金などの公的支援などが打ち切られたことで、資金繰りが行き詰まるケースが多発した。

 これは、ラーメン店にも該当する先が多く「中華料理店」が109件となったほか、コーヒー豆の価格高騰が大打撃となった「カフェ(喫茶店)」(72件)でも過去最多を更新した。

 業歴別では、23年は業歴10年未満の飲食店が倒産件数のうち約4割を占めた。新規開業後まもなくコロナ禍が発生したことで、本来なら営業の支えになるはずのリピーターが確保できなかったり、値上げによる価格転嫁が進まず資金繰りに窮し、公的支援があっても補えない状況が続き倒産、閉店に至る個人店が多かった。

 ようやくコロナ明けとなり復活するかと思われた23年の外食業界であったが、人手不足や原材料コスト高騰など、想定外の要因により倒産が急増する結果となってしまった。大手チェーン店のような経営体力のない個人店の中には、地元の名店と呼ばれるお店も多い。そのような名店、人気店をなんとか生き残らせる方策はないものかと感じているのは筆者だけではなかろう。

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