元気・長寿への招待 ヘルシーメニューの素材を追って:ニンニク

1995.10.10 1号 6面

にんにくがブームである。テレビコマーシャルにも数多く流れている。またにんにくと名付けたレストランも出現。このメニューをみると、にんにくコロッケ・にんにく炒飯・ガーリックピザ・タコのスペイン風・にんにく醤油ドレッシング・冷なすにんにく風味・にんにくラーメンほか。待ち時間の出る程繁昌中。

にんにくを多用するキムチは日本漬物の伸びを喰って快走を続ける。韓国料理もにんにくの好調をうけて高成長が続く。中国料理もにんにく風味の餃子やラーメンや炒飯などは売れ筋である。洋風では地中海料理が人気度ナンバーワン。この中でスペインのソパ・デ・アホと南仏のスープ・ア・ライユはともに、にんにくスープの代表的メニューである。イタリアでもにんにくスパゲッティは最高で、にんにくとトマトが地中海料理の根幹である。特に南仏は一人一年で数一〇kgもにんにくを消費する。

アメリカに行くとサンフランシスコの南部にギルロイ市があり、数一〇kmに及ぶにんにく畑があり、自らを世界のにんにく首都と称し数百に及ぶ料理メニューを発表している。

このにんにくは南ヨーロッパが原産で、奈良時代に中国から薬用として伝えられ、源氏物語にも極熱の葉草として紹介されている。

にんにくの特性はエネルギーをつくり出すビタミンB1を活かすことにある。B1をいくらとっても体内に吸収されるのは一日わずか五~一〇mg程度で貯蔵出来ない。ところがスイスのストール博士の研究で、アリンとよぶ新しいアミノ酸が発見され、つぶすと臭いの強いアリシンに変化。このアリシンがビタミンB1と結合してアリチアミンとなってB1を体内に長くとどめておくことが判明。体内にB1が十分あるとエネルギーの代謝が円滑となり疲労感が少なくなる。にんにくの薬効が科学的に立証されたのである。

さらに日本の小湊博士によって臭いの中にある成分を発見し、これをスコルジンと名付けた。ホルモン系統を刺激して精力を増強することが判明した。現在にんにくから数多くの保健薬が誕生している。最近になってにんにくに含まめているイオウ化合物は、抗ガン作用が極めて大きいことが判明し話題をなげている。

薬効が高いばかりでなく、その独特の香りは肉や魚の生臭さを消す。また辛味は食欲を増進するのに役立つ。そしてどの様な料理素材ともよくマッチする。

肉食を好むヨーロッパ人には、にんにくは欠かせない。肉の臭みを消しおいしさを引き出す。しかも抗菌力にも大きな力を持っている。最近日本人の食生活も急変し米ばなれの中でも肉の消費は急拡大し、にんにくは有用な食材として浮上してきた。

薬効の高いスタミナ食品の中でも、食欲をわきたてる食材としてにんにくはコスト安、美味、ヘルシー。長寿の根源がみられる。

(食品評論家 太木光一)