百歳への招待「長寿の源」食材を追う:ツワブキ

2004.03.10 104号 9面

タラノキ、ツワブキはともに知名度抜群。前者は日本中に分布し高級野菜としてハウス栽培で流通。クセがないのでファンは多い。成分的にも優れ、特に糖尿病や腎臓病にも効果的。ツワブキは料理面ではオールマイティー。シャキシャキとして舌を楽しませて人気が高い。また民間薬として薬効も幅広い。

(食品評論家・太木光一)

ツワブキは「石蕗」とも書かれるが、キク科の常緑多年草。日本では本州中部以西から沖縄にかけて分布、東南アジアでも多くみられる。

乾燥と塩風に強く暖地の海岸にも自生する。観賞用として庭などにも植えられているが、葉は腎臓形で厚く、光沢があり根生する。若い時は全草に灰褐色の綿毛が生える。晩秋から初冬に、花茎の先端にかけ黄色い花が咲く。

ツワブキの名前は「つやのあるフキ」から転じたものといわれている。また茎や葉柄がフキのような形をしており、葉の質が厚く硬く冬でもしぼまない。前出の石蕗とも書かれる所以だ。山陰地方ではアマブキとも呼んでいる。

4~6月頃の若葉をゆで、よく水で洗ってアクを抜いて皮をむき、煮物・和え物・浸し物・汁の実・漬物・つくだ煮などに利用される。シャキシャキして、どこかクセのある味が舌を楽しませる。またフキのような香りもみられる。葉の片面に衣をつけて天ぷらにしても美味だ。晩秋の頃、花の天ぷらや酢の物などにも利用されファンは多い。

ツワブキは民間薬として、葉を乾燥させ煎じたものは魚の毒消しに、生葉の汁をしぼったものや、乾燥葉の煎汁は下痢によいといわれている。また生葉を火にあぶってよくもみ、腫れ物や湿疹にも利用されている。

10月から11月にかけて、六〇センチほどの花茎を出し濃黄色の頭花をつける。この時期は花の少ないシーズンなので、よく庭の下草として植えられるが、あまり日陰では花つきが悪い。園芸品種には星斑(ホシフ)や縮茎がある。繁殖には春の株分けがよい。

薬効として葉柄(生)をみると、一〇〇グラム当たりでエネルギーは一六キロカロリー、水分九四・五、タンパク質〇・三、糖質三・一、繊維一・二、灰分〇・九(いずれもグラム)、無機質ではカルシウム三一、リン九、鉄〇・二、ナトリウム八五、カリウム三四〇(同ミリグラム)。ビタミンではA効力三一国際単位、B1〇・〇一、B2〇・〇三、ナイアシン〇・三、C二(同ミリグラム)。

ツワブキの頭花は舌状花と筒状花からなり、果実には密に毛がはえている。観賞用は数品種みられる。クセのある味や香りが好きだと固定ファンも意外と多く、料理のバラエティーも豊富だ。

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