糖尿病の治療は“3本柱”から“5本柱”へ 歯周病治療で糖が下がった!

2004.11.10 112号 3面

糖尿病の人が歯周病をしっかり治療するとHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー。過去1~2カ月間の血糖値の平均を表す検査値)が改善する、という報告がよく見られる。「糖尿病は合併症が怖い病気。合併症を防ぎ、よりよい血糖コントロールを続けるための手段として食事療法・運動療法・薬物療法の3本柱に、歯周病治療と禁煙を加えた5本柱で糖尿病治療を支えれば、さらに効果的に治療目標を達成できるでしょう」(石川教授)。

◇実践!歯周病の治療

◆基本は、プラーク(歯垢)コントロール

歯周病の直接的な原因はプラーク。プラークとは、無数の細菌とその細菌が出す産生物がくっついた塊で、歯と歯肉のすき間(歯肉溝)に溜まる。歯肉溝につくプラークは毒性の強い嫌気性(酸素のないところを好む)細菌が多く、酸素の少ない歯肉溝の奥へ奥へと侵入しようとする。そのため歯肉溝が拡大し、歯周ポケットができる。

治療の基本は、プラークを少なくすること=プラークコントロール。具体的には、しっかり歯を磨くことに尽きる。「プラークはうがいではまずとれません。またプラークコントロールは生涯欠かせません。なぜなら歯周病菌は口の中にいつも存在する菌だからです」(石川教授)。

◆見直そう!あなたの歯みがき

・歯ブラシ選び…歯ブラシは、植毛部が3×7列、長さは前歯2本分ほどで毛の硬めのものが効率よくプラークを除去するとされる。自分に合うものを探してみよう。

・いつ磨く?…毎食後が理想で、とくに寝る前は念入りに。睡眠中は唾液の分泌が減り口が乾き歯周病が進行しやすくなるため、十分にプラークを取り除いておく必要がある。お酒を飲んでそのまま寝るのは厳禁!

・何分磨く?…長ければ長いほどよいわけではないが、しっかり磨くには最低10分程度かかる。歯みがき粉をつけず、テレビを見ながら、湯船で温まりながらなど“ながら磨き”がおすすめ。

◆入れ歯の手入れも忘れずに

入れ歯にもプラークが付着する。入れ歯は毎晩必ず外し、歯を磨くのと同じつもりで歯ブラシや洗浄剤で掃除を。

◆爪楊枝はなるべく使わない

爪楊枝を使うと、歯肉(歯茎)を痛めたり、歯と歯の間の隙間が広がる原因に。爪楊枝を使いたくなったら歯を磨こう。

◆食習慣のチェック

間食回数が多いことや甘いもの・軟らかいものを好む食習慣は、歯周病のリスクを高め、糖尿病の治療にもよくない。

◆血糖コントロール

糖尿病の人はプラークコントロールと同時に血糖コントロールも大切。血糖コントロールが悪いと歯周病で外科的治療が必要な場合にも治療を行えないことがある。

◆歯科医で定期的にスケーリング

いくらしっかり磨いても磨き残しで歯石はたまるもの。年2~3度は歯科医でスケーリング(歯周ポケット内のプラークや歯石を専用器具で除去する)などの処置を受けて。

◆かかりつけ歯科医を持とう

糖尿病の人は、血糖コントロールのことも気遣いながら治療してくれるよう、歯科医と良い人間関係を築きたいもの。それには、かかりつけ歯科医をもつこと。検査の重複などのムダを省け、何でも気軽に相談できるようになる。

◆糖尿病の状態を告げて受診

血糖値が高い時には感染症にかかりやすいので、出血を伴いやすい歯科治療では、抗生物質の使用などの配慮が必要。また抜歯や外科治療の際は、治療後しばらく食事ができなくなるため、糖尿病の薬物療法をしている人は、低血糖予防のため薬の服用・注射量の変更など内科医とも相談を。

◇期待の糖尿病対策食材! ミラクルフルーツの活用

「砂糖を使わないおせちやケーキがあったらいいな」。安全で低カロリーな甘味料が求められるいま、注目したいのが1面で紹介した果実「ミラクルフルーツ」。

なぜ酸っぱいものを甘く感じるのか、そのしくみについて味覚修飾植物研究第一人者の島村光治さんは「ミラクルフルーツ中のミラクリンという特殊なタンパク質が、舌の味蕾(みらい=味を感じる細胞)に働きかけ、味を修飾する」と説明する。

甘いものの制限は、好きな人には大きなストレス。「糖尿病の人が甘いものを食べるかわりにミラクルフルーツを噛んで酸っぱいものをとることを半年続けたところ、HbA1c値が有意に改善した。ミラクルフルーツは薬でなく食習慣改善の一貫で即効性はないが、食事療法のストレスを軽減し、コントロールの手助けに適する」と共同研究を行っている柴田内科クリニック・柴田恒洋院長。今後、糖尿病食や甘味料に広く応用すべく、ミラクリンの大量生産やレシピ開発などが進められている。

ミラクルフルーツ入手の方法は、島村光治さんホームページ参照。

http://shima.npo.gr.jp

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