あなたのわがままな体調に応えたメニュー 東京・荻窪すみれ家
JR中央線・荻窪駅から歩いてほど近くのレストラン・すみれ家(電話〇三-三三九三-〇六八八)は、自然食を提案してすでに一九年の歴史を持つ老舗。エントランスには、「おもてなし料理」と家号にちなみ紫色で染め抜いた品のいい旗が揺れる。
さりげない言い方だが、実はこのおもてなしの意味が凄いのだ。店には常連のお客一人ひとりのカルテがある。「ダイエット中」「高血圧・コレステロールを気にしている」「味は濃いめが好き」「お酒と一緒に食事をする」「とにかく出を急がないと御満足いただけない」などなど。もともとは都心の某一流ホテルの料理長がこうしたカルテを作っていると聞いて、「そんな大手でもできる人がいるのなら、個店のウチでできない訳がない」と奪起して始まったのだという。
「野菜たっぶり、元気の出る食材たっぶりのメニューを出しているので、とくにちょっと疲れぎみとか、カゼをひきそうなんていう日にぜひ来て下さい。それで今日こんな調子だからこんな物が食べたいと積極的に要望していただきたい。ワガママなお客様大歓迎なんです」と田村社長。
そこで働き盛りの四〇~五〇歳代がこの秋、目前の冬にカゼをひかず元気に乗り切るための、身体づくり栄養メニューを作ってもらった。
旬の食材をたっぶり使っている中でも、とくにポイントとなっているのは芋。
炊き込みご飯で小芋と合わせた“むかご”は長寿食の筆頭に挙げられる大和芋の実。ツルの先になり晩秋に穫れる。鮭も秋の味覚の代表選手だが、卵を産んだ後の親は多少色落ちする。そこでドッサリ載せたキノコで視覚をカバーするとともに栄養のバランスをとる。
ゴマは本来年間を通して毎日摂った方がいい栄養食。とくに妊婦、子供、お年寄りには欠かせないが、季節の変わりめや元気をつけたい時などは働き盛りもぜひ意識的に食べてほしいという。
◆さつま芋のハンバーグ
蒸したさつま芋を長さ8センチくらいに切り、中身を少しくり抜く。その身を合わせたハンバーグの具をもとの芋に詰め直し、200度のオーブンで8~10分焼く。
◆秋鮭のキノコ蒸し
しめじ、舞茸、えのきは手でさき、下処理をしたシイタケを混ぜる。ホイルにキノコを少し敷き、黒砂糖・塩・酒をふって20分おいた鮭をのせ、残りのキノコたっぶりと、塩・こしょう・酒をかけてピッチリ閉じる。200度のオーブンで8~10分蒸し焼き。
◆胡麻豆腐
生ごまに水を入れミキサーに15分かける。これに吉野くずと水を加えよく練り、15~20分火にかける。型に入れて冷やす。
◆むかごと小芋の炊き込みご飯
皮をむいた小芋は茹で、水の中でヌメリをとり乱切り。洗った後、ザル上げ20分した米にむかご・小芋・酒・塩を入れて炊く。