クオリティ・オブ・ライフ応援委員会 高齢者向け弁当宅配サービス開始

1997.08.10 23号 9面

高齢者向け弁当の宅配サービスは、「高い」「量が多すぎ(少なすぎ)」「配食の手が足りない」など、サービスの質・量ともにクリアすべき問題がまだまだ多い。とくに都市部では高齢者率が全国平均を上回る見通しでありながら、コミュニティーは増えることなく逆になくなる傾向にある。そんな中、『夢協議会』(母体=(株)プリンセス 東京都新宿区、電話03・3350・0888)は、一食当たり三八八円の冷凍弁当を高齢者向けに宅配するサービスを東京の都心部で先月から開始した。さらに今年9月には、高齢者の自助・自立のサポート、地域での雇用システムやネットワークの構築を目的とする協議会を発足する予定で、先日、会員募集の説明会と弁当の試食会が行われた。

(株)プリンセスの佐直敬太郎社長は、現在の高齢化社会の在り方は満足できるものではないとし、「われわれが高齢者になった時のことを考え、給食の面からケアをして、在宅高齢の困っている人に低価格弁当を提供していきたい」と語る。今後は、配食する有給ボランティアが高齢者宅を直接訪問して食事を届けると同時に、安否の確認なども行いコミュニケーションを図る。高齢者のニーズについて正確な情報を把握できることから、これをデータベース化しネットワークづくりを進めていく。

試食会では、七○アイテムほどある冷凍弁当のうち「鮭のムニエル弁当」がサンプルとして参加者に配布された。カロリーや塩分などは高齢者に適正な分量に抑えてある一方、不足しがちなカルシウムを強化し、喰につまりにくいよう大きさや硬さが工夫されている。彩りもよく全体的に薄味で、「好みの味」と高齢者にも人気が高い。

同社では9月の協議会発足に向け、民間企業などに参画を呼びかけている。また将来は、小学校の通学区域程度を配食の一単位としたい考えで、冷凍車やコンテナを置くスペースとして小学校や行政に空いているスペースの提供を呼びかけていく。また、地域の商店街やシルバー人材センターなどでもマネジメントできるのではとの考えで、パートナーシップを作っていきたいという。

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