おはしで防ぐ現代病:「高血圧」乳酸菌が予防する

1997.11.10 26号 8面

病気対策は治療より予防、予防より健康増進が大切。という訳で、生活習慣病の対策に人気の『特定保健用食品』。中でも、世界で初めて、酸乳に高血圧改善効果が公認されて誕生した商品が注目を浴びている。血圧降下のメカニズムについて、臨床研究を行った杏林大学医学部の泰葭哉教授にうかがった。

Q:血圧を下げる、そのしくみとは?

A:血圧を上昇させる血管の収縮。これはアンジオテンシンⅡという物質が原因のひとつで起きると考えられています。特殊な乳酸菌から作られるラクトトリペプチドという物質は、このアンジオテンシンⅡを作り出す酵素の働きを抑えるので、血圧上昇を防ぐのに大変効果的なのです。

Q:乳酸菌といえば「腸に効く」イメージが強いのですが、血圧を下げる“酸乳”とはどんなものですか?

A:“酸乳”とは牛乳から脂肪分を除いた脱脂乳を乳酸菌によって発酵させた酸っぱい乳のこと。その酸っぱさの正体は、乳中の糖分が分解されてできた乳酸です。それが、腸内を弱酸性にし、O157など有害菌の増殖を防ぐ、というのは有名な話ですが、一方で乳酸菌は脱脂乳中のタンパク質も分解して、さまざまなペプチドというアミノ酸が数個連なった物質を作りだす働きをしていることがわかりました。

中でも、“カルピス菌”特有の乳酸菌がつくるアミノ酸結合物・ラクトトリペプチドに、高血圧を改善する効果が認められ、その物質を含んだ飲料が『特定保健用食品』の認可を受けたのです。臨床実験では、その酸乳を毎日飲むことにより、高血圧症の人が平均、収縮時血圧で一五mmHg、拡張時血圧で五mmHg程度血圧が降下することが確認されました。

Q:それを正常な人が飲んだら、血圧が下がり過ぎてしまうことはないですか?

A:血圧が正常な人にはこの効果はみとめられません。また副作用もなく、降圧薬との併用もなんら問題のないことが確認されています。

よく知られる通り、食塩の過剰摂取が血圧を上げ、脂肪のとり過ぎは動脈硬化を招きます。食生活を考え、運動と休養を組み合わせることが高血圧を予防する原点。その上こういった『特定保健用食品』を、毎日気軽にとり続けることで、高血圧に悩む人だけでなく、日頃から健康に留意する人も、血圧の維持・健康の増進が期待できます。

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