本の中から メアリー・ピンズのジンジャーブレッド
冬の冷たい風に乗って来たメアリー・ポピンズは数々の不思議をふりまいていく。空に張り付けると本物になって輝く、金紙の星をのせたジンジャー・ブレッドもその一つ。
ただしジンジャーといっても、すりおろしたショウガしか思い浮かばない子供時代には、正体不明の一品。
ショウガは熱帯が原産だが、中世には欧州に広まっている。日本など東南アジアでは生で使うことが多いが、欧米ではほとんど乾燥した粉末を使う。ショウガの辛みが砂糖の甘さを抑え、お菓子や飲み物によく使われる。
さてジンジャー・ブレッドの正体は、サトウキビからとれる糖蜜とショウガの粉末を使った独特の風味を持つケーキだ。スコットランドでは人形の形にくり抜くのでジンジャーマンとも呼ばれ、絵本にも登場する。
ショウガは身体を温めるので、粉末があると便利。風邪のひきはじめに紅茶やミルクにひとさじ加えて。心も温まって、メアリーが乗って帰る春風が待ち遠しく思えてくるかも。(A)