厚生省、高齢者医療に定額制を導入 「薬漬け解消」というが

1996.01.10 4号 8面

厚生省は、昨年末の今年度予算政府案決定にあわせて、医療費適正化対策を決めた。それを受け、医療の定額化などについての審議が、厚生省の諮問機関で年明けから始まっている。

この制度は、老人医療の慢性病(糖尿病や高血圧など)に対しての薬漬け・検査漬け解消を狙うもの。厚生省の調べによると、従来の出来高制を廃し、すでに定額制を実施している全国八六の病院では、投薬・注射・検査が、導入後三~五割減った。

また一方で、患者の移動能力や食事能力など、日常の生活能力に改善が見られたとの報告が七割弱もの病院からあがった。

「薬だけでお腹いっぱい」「ゴハンは食べなくても薬さえあれば平気」「病院へ行っても、検査・検査で待たされて病状が悪化した」などは老人の医療現場にありがちな話。この制度導入によって、老人医療費の増大の食い止めだけでなく、クオリティ・オブ・ライフ実現のための老人医療のあり方の見直しの二つの側面からの改善に役立つことが期待される。

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