長寿を語るなら我が村に来たれ 長寿村日本一宣言 沖縄・大宜味村
大宜味村は、沖縄本島の北部、県都那覇市から北に約八七キロメートルのところに位置する。西は東シナ海に面し、東は山岳地帯、総面積の約七六%が山林原野で成り立つ。農耕地の大半は開墾地で傾斜地の多いきびしい地勢といえる。人口は平成6年12月現在で三五七八人。村内の六五歳以上の人口は同7月現在九七四人で、全人口の二七・四%を占める。
「我らは老いてますます意気盛んなり、老いて子に甘えるな。長寿を語るなら我が村に来れ、自然の恵みと長寿の秘訣を授けよう」と頼もしい「長寿村日本一」宣言は平成5年4月に採択。その根拠は、(イ)六五歳以上に占める九〇歳以上の割合(九〇歳長寿率)が沖縄が日本一であること(ロ)厚生省の全国長寿者番付、(ハ)百歳長寿率‐‐の三データからだ(左表参照)。
実際に、この地に住む高齢者が非常に若々しい身体を保持していることは、琉球大・平良教授が提示する様々な医学的検査値で立証済みだ(2~3面に関連記事)
「ヘモグロビンやアルブミンの値がデータ上高いというだけでない。顔の表情、姿勢、動作の機敏さなどがこの村の高齢者の若々しさを雄弁に語っている」(平良教授)。
村の基幹産業は、さとうきび、パインアップル、みかん、野菜、イ草などの農業、内湾性を活かした栽培漁業など。いずれも高齢者がその大きな労働力となっている。
高齢者の大半は独居または老人夫婦のみの世帯だが、その暮らしぶりに孤立感は全くない。「隣近所と血はつながっていなくても、家族、親戚同様に接する。交流は驚くほど広く、かつ深い。このことが村人気質とも相まって、村の高齢者の生活適応性を高めており、健康に良い結果をもたらしていることは間違いない」(同)という。